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夢歌(2)

夢の糸イメージたちの数珠つなぎ
意味と秩序はすり抜けてゆく

秘められし心象世界を苗床に
つる植物は生い茂りけり

忘却も癒しなのだとその人は
記憶の消えたわたしを諭す

カンバスに生きた証を描きたい
あるいは何も残さぬべきか

現象は移ろいゆけどあるものは
見えない場所に変わらずありて

軽やかにただ歌うようにすればいい
鳥の言葉で飛び方習い

(2022年1月某日)

薔薇の咲く屋敷でひとり密やかに
朽ちるが如く病みしひとづま

上品な鏡に映るご夫人は
奇抜な仮面の下で微笑む

境界の曖昧なりてそのひとは
他者の思念に脅かされり

美しく知的なひとの面影を
求めてみても虚しかりけり

(2022年2月1日)

幾たびも川の溢れる夢を見し
早く逃げてと走り回れり

子どもらと老人たちを誘導す
氾濫水位を越えしS川

室内の八割がたは浸水し
残り二割で呼吸しており

洪水の夢は変化の前兆と
夢占いの本で読みしか

(2022年2月3日)

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