同人誌小説秘話と御礼
今年の4月に、講談社現代新書60周年キャンペーン「わたしの現代新書」というものがあって、面白そうだったので参加してみました。
こちらは、AI編集者が惹句を考えてくれて、実際の現代新書と同じ装丁で、ネット上に自分の現代新書の書影を作ることができるサービスです。
最初にXに流れてきた時、投稿したかたの書影があまりにもそれっぽいので、もしや○○さん、本当に現代新書を出版されたのか?と思ったくらいでしたが、良く見ると自分でも作れるというので、思わず小躍りしました。
そのとき作ったのが『リミッター・ブレイク』の書影。
当時、書きかけの小説のタイトルでした。もしかしたら自作文庫化するかもしれないけれど、陽の目を見ることのない小説かな、と思いながら、文学フリマの準備のあいまに、書いていたものです。
文学フリマの後、海人さん、渡邉さんと一緒に、同人誌『青音色』の創刊号を刊行するにあたり、2~3万字の未発表小説を準備することになりました。
はた、と考えました。
文学フリマの後の「燃え尽き症候群」から京都旅行を経てようやく回復してきていたものの、プライベートでも色々なことがあったので、完全に「無」の状態から2万字は難しいかもしれない、と。
それで『リミッター・ブレイク』を改稿し始めたのですが、結局、諸々あって最初から書き直すことにしました。その結果、現代新書の書影を作った時に書いていた物語と、まったく違う3万字小説が出来上がりました。『リミッター・ブレイク』というタイトルだけが残った感じです。
前回参加させていただいたピリカ文庫でもそういうことがありました。それまで書いていた小説をゼロ地点に戻して、書きなおす。エッセンスがちょっと入っていることもあれば、全く別物の話になることもあります。『リミッター・ブレイク』は前者、ピリカ文庫に書いた『タケナワモールワラシ』は後者です。『タケナワモールワラシ』では、当初のタイトルすら残りませんでした。
春の段階では、書影になって浮かれていただけの小説が、まさかの変身を遂げて、同人誌に掲載される――こんなことってあるんだなと思いました。
書影では、AIの編集者さんが「限界を超える瞬間 あなたの可能性は無限大」という惹句をつけてくれました。
『青音色』に寄稿した小説は、まさにそんな感じのお話になっています。
すげーなAIさん。
不思議な形で夢が現実になった『リミッター・ブレイク』。
ぜひ、12月の文学フリマで手に取って、確かめて欲しい、と思います。
紹介PVも完成です!
話は変わりますが、本日、秋ピリカグランプリの読者賞が発表になりました。有り難いことに、読者賞に選んでいただきました。
まずは、企画運営の皆さま、審査員の皆さま、本当にお疲れさまでした。
審査員のかたがたの、睡眠時間を削ってまでの真剣な取り組みに、頭が下がる思いがしています。応募者が精魂込めた大切な作品に真摯に向き合ってくださったことは、応募者全員に、しっかり伝わっていたと思います。
そして、授賞された皆様。
改めまして、おめでとうございます。
作品の素晴らしさはもとより、献身的努力を厭わない審査員のかたの、どのような公募にもない熱意ある講評に、読んでいる私も、胸が熱くなりました。
また、読者賞においては、清き1票を入れていただいたすべてのかた、さらには私の作品にその貴重な1票を入れてくださったかたに、心から感謝申し上げます。
いただいた感想は、宝物です。
票を投じてくださったみなさまの心に恥じぬよう、これからも精進していきたいと思います。
ありがとうございます。