ふたりは少しづつ群れになる。柴犬こまめの家族のおはなし。
これはわたしと家族の物語。
語り手はわたし、柴犬の女の子こまめ。
このふたりはわたしが生まれたときから一緒。
ふたりとわたしで“3人”家族。
ふたりの優しい抱っこはわたしのもので、
ふたりの背中はわたしの顎置き。
ふたりの庭はわたしの庭で、
ふたりの部屋はわたしの部屋。
憂鬱な雨の日のお散歩だって、
暖かいピンク色の桜の中でも、
ちょうど良い秋の風の中、
新緑の山散歩だって3人でご機嫌に過ごしたわ。
ふたりの愛はわたしだけのもの。
特別な日も普通の日も、
ふたりは常にわたしで溢れ、いつもわたしだけを見ていたの。
でも、
何かが変わった、あの日から。
突然、増えた。たくさんの絵本。
おうちにきたのは小さいこの子。
この子はわたしと同じくらい寝てばかり。
ふたりはいつもこの子を抱っこしているし、
夜中に突然泣き出すの、、、。
ふたりの膝はわたしのものなのに。
わたしのソファもこの子の場所に。
どうゆうことか聞いてみたけど、納得できる答えじゃないの。
まだ仲良くできないよ。
だって知らない子なんだもん。
なんだかとっても複雑な気持ち。
とらせていただきます。それは、柴距離。
この子が来るまで、ふたりとわたし。3人だった。
わたしのペースが乱される。
そんなに見ないで。集中できない。
逃げ出したい日もあったわよ。
それでもこの子はいつもにこにこ。
そーと、この子に近づいてみたけれどドキドキし過ぎてなんか緊張。
きょうもきょうとてにこにこしている。
なんだかミルクの甘い香り。
きょうもきょうとてにこにこしている。
優しく撫でてもくれるのね。
それは嬉しい、ありがとう。
季節はめぐりもう1年。
一緒に公園に行ってみた。
ふたりとわたし。そして甘い香りのするこの子。
よーくよく見てみると、他にも群れがたくさんいるわ。
2人の群れ、3人の群れ、4人の群れ。。。
そのときわかった。
わたしはこの子と同じ群れ。
この子はずっとわたしの隣。
この子とわたしは家族なのね。
よく見るとふたりと似ているこの子。
急には無理よ。
だけど、
少しづつ、少しづつ、好きになる。
わたしはこの子と同じ群れ。
少しづつ、少しづつ、好きになる。
わたしはこの子と同じ群れ。
少しづつ、少しづつ、好きになる。