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若者が入社数年で会社を”損切り”する理由3つ

「最近の若者はすぐ会社を辞める」

そんなフレーズを聞いたことはありませんか?メディアでもよく「Z世代は会社をすぐに見切る」という様なコンテンツをよく見ます。

確かにキャリア相談にのっていて、新卒数年以内で転職を考えている人は結構いるなと感じます。

もともと、数年で会社を退職する若者はどの時代も一定数いたはず。でも、平成と令和では若者が会社を辞める理由が変わってきているのではないでしょうか。

今回は最近の若者が会社を数年以内に辞める理由について、リアルな声を聴いている私の考えをまとめてみました。

実は若者の早期退職率はあまり増えてない

この記事を書き始めるとき、「ん?そもそも最近の若者がすぐ退職するってエビデンスあるのかな?」と思い、厚生労働省のデータをチェックしてみました。

下記がR5年10月に厚労省が発表した数値です。

引用元:新規学卒者就職率と就職後3年以内離職率

実はR2年 (2020年) に大学卒業した人の3年以内離職率は32.3%。確かに、ここ数年は離職率が高めに見えますが、平成に比べてものすごく上がったという印象はないですよね。

やはり、以前から3割前後は入社3年以内に辞める傾向があったよう。

「最近の若者はすぐ辞める」というのは、メディアの印象操作なのかな〜とデータを見て思いました。

一方で、その3割の人が会社を「辞める」というよりは、早めに「損切りする」ようになったのでは?と私は考えています。

ここからは本題の「なぜ若者は入社数年で損切りするのか?」について、実際に聞いた声をベースに私の考えを書いていきます。

① やりたい仕事ができないので将来が不安

まず一つ目の理由は「やりたい仕事ができない」です。これは大手企業に入社した若者がよく訴えること。

最初は「大手企業に内定もらえて生涯安心だぜ!」っと思っちゃう人が多いですよね。

でも、その後に直面するのが「配属ガチャ」。ガチャポンに例えるのはどうかと思いつつ、実際はくじ引き要素強し。

配属先がやりたいことや自分に合った職種ならラッキーですが、そうじゃない場合はアンラッキーです。

会社によっては、一度配属されちゃうと、ほぼ自分の希望では異動できないケースもあります。

社内フリーエージェント制度があっても、実質使うことなんて不可能という声を聞いたこともあります。

※社内フリーエージェント制度とは従業員が異動したい部署に自身を売り込むことで、希望の人事異動を実現する制度。

日系大手企業では、建前上柔軟なキャリアパス制度があるけど、実際は機能していないなんてことも多いようです。

また、上司にキャリア面談で「実は今の部署とは別のキャリアパスを希望していて・・」と相談しても、上司がそういう部下に慣れてなくて、サポートが受けられないというケースもあるようです。

結果的に、「自分がやりたいことじゃない、強みに合ってない仕事をこれから何十年もやり続けるなんて不安すぎる・・・」となり、早めに損切りをすることが多いんじゃないかなと思います。

もちろん、ちゃんと社内キャリアパス制度やマネジメントが機能している会社もあります。最初からやりたいことをガンガンやらせてくれるベンチャーもあります。

一方で、現場で相談に乗っている私の感覚だと、そうじゃない企業が未だに多く、若者がフラストレーションを抱えてしまっていると感じています。

ひと昔前であれば、例えあまり好きじゃない仕事でも、会社に決められたことは定年までやり切ることが普通でした。そうすれば60歳以降は安泰の時代だったから。

でも今は、将来になんの保証も安泰もない時代。そんな中我慢なんてできないし、やりたくないことを何十年もやり続けるのは絶望に近い感覚なんじゃないかな。

我慢すればいつか報われるなんて時代遅れの考え。若者は今成長したい、得られるものはなるべく早くほしい。

これが、若者が早めに会社を損切る理由の1つだと感じています。

② 会社の中に目指す人がいない


二つ目の理由は、会社の中に目指す人がいないです。

30歳位までの人のお話を聞くと「社内にこうなりたいって思える人がいなくて・・」ということをいう人も多いです。

①でも書いたように、例えばキャリア面談で上司に、「実は今とは違う方向でのキャリアパスを考えていて・・」と相談しても、上司自身が主体的に自分のキャリアを考えてこなかったので、どうしたらいいかわからず戸惑うなんてことも。

例え自分はこうなりたいというビジョンがあったとして、それをどう実現していいかが、ロールモデルがいないから分からないというケースは特に古い体質の会社で多いと思います。

そういう環境にいると、「もうここにいても意味がないんじゃないか」と思い、早めに見損切りという決断になるんじゃないでしょうか。

私自身も最後の会社で、こうなりたいなと思える先輩がいなかったというのも辞めるトリガーになりました。

転職エージェントの両面営業だったのですが、「売上げを上げれば選択肢は増えるから、とにかく数字を上げろ」という方針でした。

でもふと周りを見ると、自分がなりたいような4、50代の先輩の姿はいませんでした。言われたことをやり続けた先に何があるんだろう?と疑問に思ったんです。

その時は正直「なりたい自分」を明確に言語化できていなかったのですが、何となくこうなりたくないっていうのはわかったんですよね~。

早い段階で辞める若者たちも、例えリスキーだとしても、将来に不安があるなら早めに損ギリをするんじゃないかなと思います。

上の世代には「根性がない」と言われる若者。でも、私は正直タイパ重視世代の見切りの良さは、潔よくていいんじゃないかなとも思うんですよね。

もちろん人生「石の上にも三年」が必要なことが多いのも事実。でも今のような時代は、早めの損切りが功を奏することも多いと思う。

そんな感覚を今の若者はナチュラル持っているのかもしれません。 

③ プライベートを充実させたい(副業を含む)

最後はズバリ「プライベートを充実させたい」です。20代、30代前半くらいの人と話すと、会社の仕事以外の時間も大切にしたいという人が多いですね。

プライベートというと趣味や遊びみたいなイメージを持つ人もいると思います。でも趣味も遊びも仕事につながるし、副業も会社の仕事以外の時間なので、プライベート時間とも言えると思います。

一方で40代、特に50代以上だと「プライベートを充実?もっと働け!」みたいな人も未だにいますよね。

私も実は現役時代、20代の後輩たちが自分より早く退社するのを見て、「若い子は仕事で結果出したい!とかないのかな?」なんて内心思ってました💦

でも、今思えば、私の上司たちは「24時間働けますか?」世代。だから自然と私もそういう考えになっちゃってたんですよね。

一方で、私も含めこれからの現役世代の多くはバブルを経験してない人間。会社の仕事をする時間と、一人の人間として生きる時間を同じくらい大切にしていいんじゃないかと今は思います。

もちろん若い時は目標達成のために、会社の仕事に200%コミットする時期があっていいと思います。私もそういう時もあったし、それが今につながっています。

でも、トータルで見た時に、やはり「ひとりの人間として生きる時間」も意図的につくった方がいい思います。

そして、今の若者はそれをナチュラルに知ってるし、そこに大きな価値をおいているんじゃないかなと思います。

まとめ

今回は「若者が入社数年で”損切り”する理由3つ」というタイトルで書いてみました。

私がキャリアコーチングの仕事をする中で感じる主な理由は下記3つ。

① やりたい仕事ができないので将来が不安
② 会社の中に目指す人がいない
③ プライベートを充実させたい(副業を含む)

自分と違う世代の人の価値観を、自分事の様に理解するのは簡単ではありません。

でもこれからの時代を担っていく世代の価値観を理解しサポートするのは、先輩世代の役目だとも思います。

相互理解が進み、一人一人が自分らしいキャリアを選べる世の中になるといいなぁと思いました!

それではまた次回♡

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