2歳の息子はぼくをだでぃと呼ぶ
2歳9ヶ月になるつむぎはぼくのことを「だでぃ」と呼ぶ。もう2年くらい前、幸枝さんのことを「まま」と呼ぶようになったつむぎは、「ぱぱ」とはなかなか言ってくれなかった。そんな中、ふとした拍子につむぎが発した言葉、「だぁでぃ」。ぼくに向けた言葉じゃなかったかもしれない。それでもはやく自分のことを呼んでもらいたかったぼくは、「だぁでぃ」に「はい!」と返事をするようになった。それがきっかけでいつの間にかぼくのよび方は、「ぱぱ」でも「とと」でも「おとうさん」でもなく「だでぃ」だ。
時が経ち、こども園にも元気に通えるようになったつむぎ。同年代のお友達と次第に言葉でコミュニケーションが取れるようになってきた。どんどん成長するつむぎをみて、ぼくはふと思った。
「つむぎはいつまでぼくをだでぃと呼ぶんだろう?まわりの子と呼び方が違うのにそのうち気づくよなぁ」
お風呂上がり、いつも通りタオルを持ってつむぎのもとに駆けつける。なぜか毎回、びしょびしょのままよじ登ってくるつむぎをどうにかこうにか拭きながら聞いてみることにした。
「つむ、パパとダディは同じ意味って知ってる?」
「うん、しってる」
「こども園のお友達はさぁ、ダディじゃなくてパパって呼ぶでしょ?」
「うん」
「つむはダディ(ぼく)のことをパパとは呼ばないの?」
「だでぃはだでぃだよ」
「じゃあお友達のダディは?」
「ぱぱ」
どうやらつむぎの中に父親の呼び方は2つあるようだ。自分の父親は「だでぃ」、お友達の父親は「ぱぱ」。ぼくにとってはちょっと不思議に感じるけれど、つむぎにとっては自分のことが「つむ」であるくらい当たり前のことの様子。地域ごとに独特の「方言」ができていくのって、こういう感じなのかもしれない。
このさきいつまで「だでぃ」と呼んでくれるかわからないが。「だでぃ」がつむぎの世界でぼくだけに当てはまる特別な呼称であるのがなんだかすごく嬉しいのでした。