秋田、限界集落の視察
秋田県由利本荘市の外れにある集落。米や野菜を作っている80代老夫婦が住む築200年ほどの民家に2泊。
車で5分ほどの場所にスーパーとガソリンスタンドがあるため生活には困らないが、山に囲まれたエリアのためどこに行くにも山道を通る。駐車場横には鶏フンが大量に売られていて、中は大量の農作業用具。もちろん食材や雑貨も売られていた。冷凍食品などの加工品の値段が東京よりも高かったのは配送の関係かな?
集落のほとんどが高齢者で、東京の働いている世代(20〜60代)は2日間で見かけることはなかった(たぶん)。このあたりに子供は非常に少ないらしく、他集落に住む子供を集めた小学校が1校あるのみ。スクールバスで迎えに行っているとのこと。高校に進むと普通科・農業科、家政科の3つに分かれるそうで、進学を希望しない場合は農業科と家政科に進む。大学に憧れる子供は普通科に進むが、都市ほどに教育設備(塾など)が整っていないため受験戦争では不利なのかもしれない。
夏に薪を用意して冬に備える習慣がある。日が出ている時しか働けないので、日没後はゆっくりしている。テレビを見るくらいしかやることがなさそう。もちろん近くに居酒屋はない。
育てた野菜はもちろん食べるが、道に生えている山菜を食べることもある。近所の住人が採れた野菜を持ってくることもある。この日の晩御飯は道で採った山菜を天ぷら!しゃきしゃきして美味しい!
おじいちゃんおばあちゃんは方言がキツくて何を言ってるか分からないことも多かったけど、若者の来訪に喜んでくれた。何を話したか覚えてないけどこちらも楽しかった。「東京ではこんな生活です」「田舎ではこうだよ」みたいな話をひたすらした気がする。地域活性化に取り組む身としては大変勉強になりました。
家の中は虫だらけで、25歳女性はたびたび悲鳴を上げていた。行く前は「将来は田舎で暮らしたい!」と行っていたのに、帰りには「カメムシが多すぎる。二度と行きたくない」という始末。虫がいない家もあるだろうけど、山と畑に囲まれたエリアだったのでもちろん外も虫だらけ。都会育ちの女の子は慣れるまでかなりキツイかも。
基本的に玄関の鍵は閉まっていないので、訪問者は玄関に入って「ごめんください」と大声で呼ぶ。不在でも家に上がって物を借りることもあるとのこと。地方あるあるらしいけど首都圏育ちの私からすると衝撃の文化。人が家に勝手に入ってくるなんて東京だと事件になる。
のどかな暮らしを想像していたけど、そんなに甘くない。農業は天候や害獣、害虫にも左右される過酷な労働。古い家に住むならメンテナンスも大変。虫にも慣れないといけない。近所付き合いだって当たり前。
パソコン1つで食べていけるリモートワーカーが住むにはいいかもしれないけど、東京に比べると日常の過ごし方の選択肢が圧倒的に少ない。テレビを見るか、散歩するか、野菜を育てるか、近所の住人(主に高齢者)と話すか。東京みたいに「久しぶりに飲もう!とりあえず新宿で!」みたいないつも会わない人と会うことすら難しい。新しいコミュニティに参加したり商業施設で買い物したり、話題のお店に行ったり気軽にできない。今回は限界集落なので極端な例かもしれないけど、地方の主要都市でも東京に比べると選択肢は少ない。東京の自由度に慣れた人にはある程度の覚悟が必要なのかもしれない。
この旅を通して東京では「日常のすぐ近くに非日常がある」というありがたみを再認識できたと思う。田舎の良さも知れたし、東京の良さも分かった。どちらも良いところが違うので、良いところ取りできる事業を考えていきたい。
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