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部下の悩みを「聞く」だけで解決する

【『質問力』という本を出版致しました! よろしければどうぞ!】

適当に聞くくらいがちょうどいい

  聞くことの重要性を理解すると、自分が「聞き上手」かどうかが気になるでしょう。
 それをチェックするには、アメリカの心理学者カール・ロジャーズが提唱した「ロジャーズの3原則」が役立ちます。

傾聴は次の3つの要素:「共感的理解」・「無条件の肯定的関心」・「無条件の肯定的関心」

 傾聴は次の3つの要素から成ります。
 相手の気持ちに立つ「共感的理解」・自分の価値観で判断しない「無条件の肯定的関心」・そして心と言動が一致する「自己一致」です。

 例えば、無愛想な部下に対しても、マイナスの感情を抱かず、素直に話を聞くことが出来るでしょうか。

聞き上手にならなくてはと気負いすぎる必要はない

 但し、3つとも満たせていない人も、聞き上手にならなくてはと気負いすぎる必要はありません。
 自分の意見を横に置き、適当な姿勢で聞くのが「聞き上手の鉄則」だからだ。適当というのは無責任という意味ではなく、「適切な程度」を意味する。適当さを保つことで、部下と良好な関係を築きやすくなるのです。

1on1で「効果的に褒める」

 コロナ禍以降、企業で1on1ミーティングの導入が加速しています。
 1on1がうまくいかないケースのほとんどが「上司が部下の話を聞き続けることができない」ことに要因があります。

1on1では基本の4つのステップを踏む:アイスブレイク・心身のチェック・褒める・メイントピック

 1on1では基本の4つのステップを踏むと良いです。
 それはアイスブレイク、心身のチェック、褒める、メイントピックです。
 1on1全体の7~8割を占めるメイントピックにおいては、職場や業務、キャリアのことなど部下の気になっているトピックについて教えて頂きましょう。

「褒める」にはコツがある

 ステップ3の「褒める」にはコツがあります。
 それは事実を具体的に褒めることです。立教大学の中原淳教授が提唱するSBI情報の考え方が参考になります。

SBI:状況(situation)・行動(behavior)・成果(impact)

 SBIとは状況(situation)、行動(behavior)、成果(impact)の3つの要素を指します。
 
「先週金曜、高橋さんを手伝ってあげていたね。高橋さんとても喜んでいたよ」。この3つの要素でフィードバックすると、部下も「よく見てくれているな」と納得するでしょう。

フィードバックに「新たな観点」を

 部下に対して仕事の評価を伝える際、正しいフィードバックがあってはじめて部下のパフォーマンスを引き出せます。

考課の評点や残課題などの事実を具体的に伝える

 具体的には、緊張を取り除く場作りをして、考課の評点や残課題などの事実を具体的に伝えます。

その後の「納得作り」→「改善策作り」→「期待の伝達」


 続いてその後の「納得作り」に入ります。その先は「改善策作り」、「期待の伝達」を行いましょう。

 このフィードバックのプロセスにおいて特に大事なのは「納得作り」です。先ずは部下の想いをひたすら聞くきます。

「気づきを与える質問」に切り替えよう

 その上で「気づきを与える質問」に切り替える。新たな観点を加えることで、部下の「囚われ」を壊していきます。

まとめ 納得は新たな観点から見たときに起こる

 納得は新たな観点から見たときに起こる。まずは聞き役に徹することで、憤りのマグマを取り除きます。
 その後、新たな観点から質問することで部下の思い込みを壊していきます。
 この順番が重要です。
【参考】伊庭正康(2022).『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]. PHP研究所