【キャリア】採用面接を攻略した僕の人体実験⑥(最終回) 『英語面接に求められる英語力の身につけ方』
シンガポールの高層マンション。窓の外には、熱帯のスコールが通り過ぎ、水たまりに映る街の灯りが揺れている。僕は、冷えたアイスコーヒーを片手に、外資系企業や海外就職・転職の採用面接に求められる英語力について考えていた。
僕がどうやってビジネス英語を身につけることに成功したのかについては、過去の note (全30話)にまとめてあるのでそちらを参考にしてもらいたいが、そんなものいちいち読んでいられないという人にも短時間で読んでもらえるようにしたものがこの note だ。
第3章 採用面接に必要な英語力について
外資系企業や海外就職を目指す日本人にとって、英語力は大きな壁だ。僕自身、今でも英語には自信がない。それでも、採用面接に必要なスピーキング力とリスニング力は、どうにかこうにか身につけてきたつもりだ。今回は、僕の成功体験と失敗体験を交えながら、その方法を伝授しよう。
第1節 必要な英語力の目安
結論から言うと、日本にある外資系企業への就職なら、TOEIC400点台でも十分にチャンスはある。業種や職種にもよるが、英語を全く使わないポジションもたくさんある。
しかし、海外就職となると話は別だ。日本語が使えない環境では、900点でも足りないくらいだ。
「外資系 転職 英語力」などと検索すると、「TOEIC700点以上必須」といった情報が出てくるかもしれない。しかし、それは海外拠点と頻繁にやり取りするポジションの話だ。日本支社で日本人相手に働く営業職やカスタマーサポート職なら、英語を使う機会はほとんどないこともある。
繰り返しになるが、海外拠点と密に連携する仕事では、TOEIC900点でも足りない。これは、海外企業への就職でも同じだ。
僕自身のTOEICスコアを振り返ってみよう。
大学1年生:390点
外資系歴5年目:445点
外資系歴10年目:700点台
海外転籍前後:900点前後
それぞれのタイミングで、僕は以下のポジションに就くことができた。
1社目(日本支社、英語不要):新卒入社
2社目(日本支社、英語不要):転職入社
3社目(日本支社、英語必要):転職入社
3社目(海外支社、英語のみ):転籍入社
ちなみに、僕が初めて海外に行ったのは、中学1年生の家族旅行でのハワイだ。2度目は、新婚旅行でのメキシコ。英語とは全く無縁の生活を送ってきた、生粋の日本人だった。
新婚旅行の飛行機の中で、CAさんに飲み物を聞かれても理解できなかった僕。隣に座っていた妻に、「あなた、本当に外資系企業で働いているの?」と真顔で聞かれたことは、今でも忘れられない。
第2節 第一形態:英語アレルギーへの処方箋
僕自身、かつては英語が大の苦手だった。だから、その不安な気持ちは痛いほどわかる。でも、安心してほしい。英語アレルギーは、必ず克服できる。
英語面接で最も大切なのは、面接官の話していることを理解することだ。つまり、リスニング力が重要になる。相手の話していることが分からなければ、適切な返答もできないからだ。
だから、まずはリスニング力の強化に集中しよう。英語の映画を見たり、教材を聞いたりするのもいいが、手っ取り早いのは、オンライン英会話を毎日受けることだ。
3ヶ月もすれば、自己紹介はスラスラ話せるようになる。毎日同じことを繰り返すことで、英語が聞き取れるようになった気がする。それは、まるでコタツのスイッチを入れた瞬間、まだ暖まっていないのに、ほんのり温かさを感じるようなあの錯覚だ。最初はそれでいい。
そして、何度も繰り返すうちに、相手の話していることが分からず焦る経験をするだろう。その冷や汗こそが、リスニング力向上の特効薬となる。それを乗り越えた時に感じる達成感が、英語アレルギーを克服する鍵となるのだ。
人間は単純な生き物だ。苦手なことが少しできるようになると、それが好きになる。それは、嫌いだったクラスの女子が、実はあなたのことが好きだと聞いた時、急に意識し始めるあの感覚に似ていると思えばいい。
インターネットで調べると、「英語習得には2,000時間必要」といった情報が出てくる。しかし、育毛剤を使っても髪が生える人と生えない人がいるように、2,000時間勉強しても話せるようになる人とそうでない人がいる。
大切なのは、諦めないことだ。2,000時間勉強してもダメなら、さらに続けてみよう。オンライン英会話を続け、英語に慣れるまで、挑戦し続けよう。
ちなみに、僕は30分程度のオンライン英会話レッスンを800回(累計400時間程度)受けて、ようやく面接官の話していることが少し分かるようになった。
「少し分かる」とは、具体的には30~40%程度の理解度だ。例えば、「今回のポジションへの志望理由を教えてください。これまでプリセールスエンジニアを長年やってきましたが、なぜ今回はプロダクトマーケティングのポジションにチャレンジしようと思われたのでしょうか?」と聞かれた場合、「今回のポジションへの志望理由を教えてください。これまでプリセールスエンジニアを...(以下、聞き取れない)」といった感じだ。
分からない単語が出てきた瞬間、頭がフリーズしてしまう。大まかに何を聞かれているかは分かるが、詳細は全く理解できない。
この時期は、とにかく数をこなすことが重要だ。僕はレアジョブ英会話の毎日1レッスンを受講していたが、最近であればレッスン回数無制限のNative Campもおすすめだ。
第3節 第二形態:日本語で考える前に英語で話し始めるための闇練
毎日オンライン英会話を続けても、英語力は一向に伸びなかった。教材の英文は読めるようになっても、暗記するほどの記憶力は持ち合わせていない。レッスンをこなすだけで、実力が身につかない虚しさを感じていた。
そこで、僕は戦略を変えた。教材に頼らず、自分の言いたいことを自分の英語で話す練習にシフトしたのだ。
具体的な練習方法は、以下の通りだ。
会話のテーマを選ぶ
テーマに沿って、200語以内で英作文し、講師に送る
講師からの返信に、200語以内で返信する(これを5往復繰り返す)
最大1,000語程度の英文を講師に添削してもらう
添削されたオリジナルストーリーを教材に、オンライン英会話レッスンを行う
この方法のメリットは、自分の経験を自分の言葉で表現できることだ。暗記する必要もなく、瞬発的に英語で話せるようになる。
そして、不思議なことに、スピーキング力が上がると、リスニング力も向上する。これは、「発音できない音は聞こえない」という理論と関係があるのかもしれない。
僕は、この方法を2ヶ月間、200レッスン(200トピック、100時間)ほど続け、ようやく日本語で考える前に英語で話せるようになった。内容は、英語ネイティブの5歳児以下かもしれない。それでも、1ヶ月ほどで英語の夢(悪夢?)を見るほど、日本語と英語を頭の中で分離させることに成功したのだ。
この時期は、とにかく英作文を繰り返すことが重要だ。僕は、BestTeacherの通常コースを受講していた。
第4節 第三形態:英語の回路と応用力を身につける筋トレ
なんとか聞き取れるようになり、我流の英語で話せるようになった。しかし、この「俺英語」では、グローバルなビジネスシーンでは通用しない。ネイティブからは、「ちょっと何言ってるか分からない」という顔をされることもしばしばだった。
そこで、僕は発音矯正ではなく、英語の「回路」を作ることに集中することにした。具体的には、正しい英単語の塊を、リズムよく会話に組み込む練習だ。
例えば、「改めてご連絡します」は "get back to you"、「この前さぁ」は "on the other day"。これらは、まるで一つの単語のように使われる。こうした塊を、できるだけ多く使いこなせるようになれば、流暢な英語に近づくことができる。
一度コツを掴めば、あとは塊を組み合わせるだけで、様々なバリエーションの表現ができるようになる。結果として、伝わる英語をスムーズに話せるようになるのだ。
僕は、このスピーキングの筋トレを毎日1時間から1時間半、30日間継続した。すると、ネイティブの上司から、「最近、君の英語がすごく上達したね」と褒められた。自分でも、成長を感じることができた。
この時期は、よく使われる英単語の塊をスムーズに口から出すための訓練が重要だ。僕は、パタプライングリッシュのトレーニングにお世話になった。
第5節 英語力強化のモチベーションマネジメント
僕のモットーは、「継続は力なり」と「やらずに後悔するよりやって後悔したほうがいい」だ。しかし、継続するためにも、やってみて後悔するためにも、モチベーションの維持は不可欠だ。
800時間のレアジョブ、100時間のベストティーチャー、そして毎日のパタプライングリッシュ。これらをどうやって継続できたのか、よく聞かれる。答えは簡単だ。
自分を、逃げられない状況に追い込むことだ。
例えば、Facebookで友達に宣言する、レッスンが終わったらXやThreadsで「◯◯日連続、累計◯◯レッスン達成」と投稿する、上司に目標としてコミットする。方法はなんでもいい。
宣言しておけば、レッスンをやめたら、親切な友人知人が「もうやめたの?」と聞いてくるだろう。誰も気にしていないかもしれないが、自分の中では「有言実行できない恥ずかしいやつ」というレッテルを貼られてしまう。そうならないために、たとえ飲み会でベロベロになっても、深夜2時にレッスンを受けてから寝るようになった。
周りに宣言することのもう一つのメリットは、同じように英語学習に励む仲間ができることだ。彼らがいるからこそ、簡単に諦めるわけにはいかない。
結果として、僕は周りのほとんどの友人知人が「頑張ったね」と認めてくれるレベルに到達するまで、それぞれの英会話レッスンを続けることができた。
もちろん、一番手っ取り早いのは、英語しか話さない恋人をゲットすることだ。面接が恋愛ゲームなら、英語力不足の問題も、恋愛が解決してくれる。愛の力は偉大なのだ。
しかし、愛の力に頼れない既婚者の皆さんには、もう一度、僕のモットーを贈ろう。
「継続は力なり」 「やらずに後悔するよりやって後悔したほうがいい」
そして、「諦めたらそこで試合終了ですよ」は、英語では "When you give up, that's when the game is over" と表現される。
これは、キャリアを築く上でも、英語力を身につける上でも、僕の心に深く刻まれている言葉だ。
第6節 僕には向いていなかった学習方法
誤解しないでほしい。これらの方法を否定するつもりはない。ただ、僕には合わなかっただけだ。もしかしたら、やり方を間違えていたのかもしれない。
駅前留学での対人レッスン
問題集や音声教材、単語帳を使った暗記と自習
ゲーム機やスマホの英会話アプリ
映画やニュースを見る
英語の音声をひたすら聞き流す
一人英会話(ひとりごと)
理由は様々だ。駅前留学は、時間とお金がかかりすぎた。問題集は、進めるほど最初のページを忘れていった。英会話アプリは、答えを丸暗記してしまい、練習にならなかった。
映画やニュースは、すぐに飽きて集中力が続かない。聞き流しは、聞いてるのに聞こえなくなるという逆効果。一人英会話は、音痴なカラオケ状態で、一向に上達しなかった。
どれもこれも、僕には効果がなかった。試行錯誤の末にたどり着いたのが、この note で紹介した三つの学習方法だ。
これらのサービスは、僕にとっての救世主だった。もし、あなたが僕と同じように英語学習に悩んでいるなら、ぜひ試してみてほしい。そして、自分だけの学習方法を見つけて、英語という壁を乗り越えてほしい。
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