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RIZAPグループの逆襲「chocoZAPの快進撃」Part1<chocoZAPの強み ①高い営業利益率>
chocoZAPの快進撃が続いている。2022年7月にchocoZAPブランドとして開始以降、2023年8月に国内フィットネスジム会員数No.1になってからもその勢いが止まらない。店舗数・会員数ともに上昇が続いている。
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chocoZAPは、月額2,980円(税別)という低価格で、全国の店舗が(原則)24時間365日利用可能だ。ジム設備に加えて、セルフエステやセルフ脱毛などの美容サービス、カラオケなどのアミューズメント設備まで用意するなど、それらが人気を呼び会員数が増加し続けている。
長期的に1万店舗を目標にしているとのこと(現時点では時期未定)。セブンイレブンが2万店舗強なので、その半分の規模でchocoZAPのある未来がやってくるのだろうか。それが実現する頃には、会員数も1,000万人に迫っているのだろうか。業界2番手のエニタイムフィットネスが93.6万人(2024年12月時点)のため、マンモスジムの誕生である。
RIZAPグループ(2928)は、chocoZAPへの先行投資もあり最終損益は赤字で、株価も長期停滞している。chocoZAPへの懐疑的な見方もある。しかし、1万店舗が実現できれば極めて有望な投資対象となる。業績・株価の乱高下を経て、不死鳥のごとく復活するか。今後を占っていく。
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<RIZAPグループの歴史>
創業者の瀬戸健氏が2003年に25歳のときに立ち上げた「健康コーポレーション株式会社」がRIZAPグループ株式会社の前身だ。「豆乳クッキー」「美顔器」「どろあわわ」といったヒット商品を通じて経営基盤を固めていく。
その後、2012年から【結果にコミットする。】でお馴染みの「RIZAP」を開始した。これが爆発的なヒットを生み、わずか数年でRIZAPを全国展開。2016年には社名も「RIZAPグループ株式会社」へ変更。ここからM&A戦略を加速させ、ジーンズメイトなどのさまざまな業種の企業を次々と買収し、多くの子会社を傘下に持つグループ企業へと成長していく。
しかし、この急成長には落とし穴があった。M&Aを繰り返した結果、グループ企業は急増したものの、買収企業の中には赤字も多く、思うように収益が改善しない事態に陥り、2018年にRIZAPグループは大幅な赤字を発表。市場に衝撃を与え、株価も急落。M&A戦略の見直しを余儀なくされ、不採算事業の整理に乗り出すこととなった。
一方、RIZAP自体の事業は好調を維持していたが、パーソナルトレーニング市場はすでに成熟期に入り、新たな成長戦略が求められていた。そのなかでコロナ禍を逆境として2022年に誕生したのがchocoZAPだ。
【chocoZAPの強み ①高い営業利益率】
フィットネスジム専業大手の営業利益率は、各社直近決算資料よると、エニタイムフィットネスを運営するFast Fitness Japan(7092)が22.1%、カーブスホールディングス(7085)が15.4%となっている。FC(フランチャイズ)比率は、それぞれ84.6%、96.0%と、FC比率が極めて高い。※FCは、設備投資や固定費の負担が少ないため、一般的に直営よりも営業利益率が高くなる。
一方、chocoZAPは全店舗を直営で運営している。加えて、chocoZAPの会員費は月額2,980円(税別)と一般的なフィットネスジムの半額以下だ。それにもかかわらず、2024年3月期において営業利益率は31%を記録している。
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※各種詳細はファクトシートを参照
営業利益率の算出は「出店後6カ月以上が経過した店舗の総計」となっているのは要注意だが、フィットネスジム経営の営業利益率を6.7%と試算するサイトもあるなか、chocoZAPの営業利益率は極めて高い。
これは、無人店舗・小規模な店舗設計・大量出店による資材の一括発注などでコストを最小限に抑えつつ、フィットネスに加えて美容サービスを導入することで会員数を拡大。一部店舗ではランドリー・カラオケ・ゴルフなどを設置し、サービスの多様化によって会員の継続率向上を図っているからだ。高額なMRI(脳ドック)・CT・エコー検査も、条件付きで年に一度無料で受けられる。
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事実、フィットネスジムの一般的な1年以内の退会率は5割程度、高い場合は8割~9割とも言われているなか、chocoZAPは退会率が高まっている様子はない。
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※「各月の退会者数(休会中会員を含む)を前月末時点でのアクティブ会員数(休会中会員含む)で割った値。2022年7月の値を1.00として指数で記載」と明確な退会率は不明
現在、開店後6カ月でほとんどの店舗が単月黒字化を達成し、累積投資の回収期間は14ヶ月とされている(2024年3月期決算説明会 P28参照)。店舗ビジネスにおける累積投資の回収期間は3年から5年とも言われているなか、驚くべきスピードだ。今後も退会率・休会率をできる限り抑え、会員数を積み上げていくことができれば、安定収入が見込めるサブスクリプションビジネスのため、収益性はさらに向上していく。
現在、1人あたりの会員に対する売上は順調に伸びている。
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会員費は月額2,980円(税別)のため、四半期ごとの会員一人あたり売上は休会がなければ8,940円。よって、売上の右肩上がりは休会率の減少が一因だ。加えて、会員費以外からも収入を上げる仕組みが進行中だ。chocoZAP Partners*という広告事業を2024年2月から開始していることも会員一人あたりの売上増に寄与している。
*chocoZAPの会員・店舗基盤を活用し、店内サイネージ、商品サンプリング、アプリ内コンテンツ、DM配信などの広告展開を行う事業
このような取り組みから高い営業利益率が実現できている。
(次回に続く)
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