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他人からの批評や評価をポジティブに受け取るには

職場や友人、家族などからもらったコメントに、ショックを受けた経験はありませんか?相手には悪気がなく、むしろ良かれと思って伝えてくれた言葉でも、素直に受け取れずに悲しみや怒りを感じることもあるかもしれません。

それでも、人間関係を円滑にし、ストレスの少ない日々を過ごすためには、こういった出来事をできるだけポジティブに受け取れるようになると良いですよね。

そこで今回は、他人からの評価や批評をポジティブに受け取るためのポイントについて、一個人のメモを記載したいと思います。


そもそものきっかけ

実は、私の職場でジョハリの窓を使ったワーク(他人から見た私の印象を伝えてもらい、自分でも気づいていなかった自分の特徴を理解するための取り組み)を行うことになりました。このワークは、コミュニケーションを深めるきっかけになったり、自分の知らなかった長所に気づける素敵な機会になるかもしれません。
(ジョハリの窓に関してはこちらを参照ください)

ただ、一方で、他者からの評価が自分には「そうは思えない」と感じることもあるかもしれません。そのように意見が一致しないと、コミュニケーションの改善が難しくなるだけでなく、グループワークの中で予期しない衝突が起きたり、その後の人間関係に影響を与える可能性もあります。

だからこそ、このワークに取り組む際には、他者からの批評やコメントをできるだけポジティブに受け止める姿勢がとても大切になるはずだと考えました。そこで、他者からの批評に対してネガティブに受け取る原因、そしてこれをポジティブに受け取るためにはどうすればよいのかを改めて考え直してみました。

なぜ他人から批評されると怒りや不安が生じるのか

ジョハリの窓のワークに限らず、他人から自分のことに関して指摘されることで、さまざまなネガティブな感情が生じます。その理由を以下のようなものが挙げられるようです。

  1. 自己概念の脅威:

    • 自分自身に対する理解やイメージが他人からのフィードバックによって指摘されると、自己概念が揺さぶられる感覚があります。これは、自分の持つ自己像が正しくない可能性に直面することを意味し、不安や怒りにつながります。

  2. 自己防衛本能:

    • 人間には、自己の価値や能力を守るための防衛本能があります。新たな情報が自己評価を低下させるような内容であれば、それを否定したり、感情的に反応したりすることで、自己防衛を試みます。

  3. 自己価値の疑問:

    • 盲点などが指摘されると、「自分は本当に価値があるのか?」という自己価値の疑問が生じます。この不安定さは、悲しみや自己否定感につながることがあります。

  4. 期待と現実のギャップ:

    • 自分に対する期待や理想が、他人からのフィードバックによって現実と乖離していることが明らかになると、失望やショックを受けることがあります。特に、自己評価が高すぎる場合、このギャップは大きなネガティブな感情を引き起こします。

私の考えでは、「1.自己概念の脅威」や「2.自己防衛本能」が要因としては大きいように感じます。

つまり、「自分はこういう人だ」といった自己概念は、長い時間をかけて少しずつ作られ、自分のアイデンティティの中心的な部分になっています。だからこそ、それが変わるようなことがあると、不安を感じてしまうのは自然なことです。無意識のうちに「今のままでいたい」という気持ちが働き、現状を守ろうとする反応が起きるのも納得できます。
(「現状を維持したい」という心理である心理的ホメオスタシスにも大いに関連しそうです)

不安や怒りを感じない人もいるのはなぜ

ただし、ここで不思議と思うのが、”同じ批評をもらったとしても、特に不安や怒りを感じない人もいる”、ということです。不安や怒りを感じる人と、そうでない人は何が違うのでしょうか?

自己概念が他人からのフィードバックと矛盾すると、多くの人々が心理的な抵抗やネガティブな感情を抱くことは一般的のようですが、ネガティブな感情を持つ人とそうでない人との違いは下記のようなものがあるようです:

1. 自己概念の柔軟性

  • ネガティブ感情を持つ人: 自己概念が固定的で、自分を「こうあるべき」と強く考える傾向があります。このため、自分のイメージが揺らぐ指摘に対して防衛的になりやすいです。

  • ネガティブ感情を持たない人: 自己概念が柔軟で、「人は変化・成長するもの」という視点を持っています。そのため、指摘を自己改善の一環として受け止めやすいです。

2. 自己肯定感の強さ

  • ネガティブ感情を持つ人: 自己肯定感が低めの人は、他人の指摘を「自分自身への否定」として捉えやすいです。これが怒りや悲しみにつながります。

  • ネガティブ感情を持たない人: 自己肯定感が高い人は、「自分の価値は指摘によって揺らぐものではない」と感じるため、冷静に受け入れることができます。

3. 成長マインドセット(Growth Mindset)

  • ネガティブ感情を持つ人: 固定マインドセットを持つ傾向があり、「自分の能力や特性は変わらない」と考えがちです。このため、指摘を「能力の限界の証拠」と捉える場合があります。

  • ネガティブ感情を持たない人: 成長マインドセットを持ち、「指摘は自分を成長させるためのヒント」として受け入れることができます。

4. 他者への信頼感

  • ネガティブ感情を持つ人: 指摘をした相手に対して信頼感が低い場合、「攻撃」や「批判」として受け取りやすいです。

  • ネガティブ感情を持たない人: 他人を信頼し、「自分の成長を助けるために指摘してくれている」と前向きに解釈できます。

つまり言い換えると、他人からのフィードバックに対してネガティブ感情を持たないようにするには、「自分自身について抱いている考えやイメージ像、価値観、理想の自分などを柔軟に変更できる」、「自分の価値を揺るぎなく感じる」、つまり高い自己肯定感を持つことが重要になるようです。

確かに「自分は完璧で、何の欠点もない」と思うと、他の人から何か指摘されても、つい反発したくなるものです。一方で、「自分は完璧じゃないし、普通の人間だから欠点もある」と考えたほうが、反発する気持ちは少なくなりそうですよね。所ジョージさんの名言で「何でもできる人間が一番美しいって考え方が図々しい」といった言葉がありますが、これにつながる部分がありそうです。

そう考えると、自己肯定感というのは、自分を必要以上に高く評価しない、ということにもつながるのかもしれません。

自己肯定感と過大自己評価の違いとは

少し話がそれますが、自己肯定感と自己評価は同じように見えて、他人からの指摘に対する反応が大きく異なります。ここにその内容をメモしておきます。

  • 過大自己評価は、「自分は常に正しい」「欠点など存在しない」と信じることであり、これは他人からのフィードバックに対して反発心を生みやすい。

  • 自己肯定感は、「欠点があっても、それは人間として当然のこと」「それでも自分には価値がある」と考えることであり、他人の指摘を受け入れやすい土壌を作れる。

適度な自己肯定感を養うには

では、「欠点があっても、それは人間として当然のこと」「それでも自分には価値がある」といった自己肯定感を養うにはどうすればよいのでしょうか?

自己肯定感に関しては、多くの本が出版されているので、必要に応じて参考にしていただければと思いますが、個人的に重要と感じているのは以下の3項目です。

1. 自己承認を習慣化する

自分の行動や存在を意識的に認める習慣を持つこと。

  • 小さな達成を振り返る: 毎日、「今日できたこと」「頑張ったこと」を書き出す。
    例:「メールを丁寧に書いた」「朝早く起きた」など。

  • ネガティブなことも受け入れる: 失敗や短所も「それでもいい」と思える視点を持つ。
    例:「今日は少しミスをしたけれど、それを学びに変えられる自分はすごい」。

2. 自己対話を意識する

自分に向ける言葉や態度をポジティブに変える。

  • 理想の自分をイメージする: 自分を励ますような理想的な言葉をかける(例:「大丈夫だよ」「成長しているよ」)。

  • ネガティブな内的対話を変える: 「ダメだな」と思ったときに「今はうまくいかないだけ」とリフレーミングする。

3. 長期的な視野を持つ

自分の価値を一時的な結果や状況に左右されないようにするため、長期的な視野を持つ。

  • 成長を重視する: 短期的な成功ではなく、少しずつでも成長している自分を認識する。

  • 大局的に見る: 「今の状況は一時的なもの」と考え、長い人生の中で自分の価値を見つめ直す。

具体的なアクション

以上の3点を行うために、私が日ごろ行っているアクションを紹介します。すでに、文献やYoutube、ネット記事にある事項と被りますが、よければ参考にしてみてください。

ポジティブ日記

 毎晩ポジティブな出来事を書き留めます。これにより、日々の生活の中で良いことに自然と目を向けるようになります。自己肯定感が高まり、自分の生活に対する満足感や感謝の気持ちが増す傾向があります。

仮想のもう一人の自分との対話

自分自身と「話す」ことで、自分の考えや感情を外側から見る機会を得ます。具体的には、自分の横にもう一人の自分がいることをイメージして、このもう一人の自分ならどのようなアドバイスを自分にかけるのか、を空想しながら会話します。
自分が最も信頼できるのは自分自身であり、そんな信頼できる自分が自分自身に対してアドバイスすることは、反発心なく素直に受け入れられるはずであり、これと同時に、自分の主観的な視点から離れ、よりバランスの取れた、客観的な視点を得る助けとなります。自己対話は、フィードバックに対する反応を不必要にネガティブにしないように、自己理解を深める手段です。

失敗をブログのネタにするマインド

失敗をネガティブなものではなく、学びの機会や面白いエピソードとして捉えることができます。このマインドセットは、失敗から学び、改善する能力を促進し、自己肯定感を維持する助けとなります。

まとめ

なぜ他人から批評されると怒りや不安が生じるのか
長年かけて形成された「自分はこういう人だ」といった自己概念が変わる可能性が生じることにより、不安を感じてしまうため

他人から批評をポジティブに受け取るには
「自分自身について抱いている考えやイメージ像、価値観、理想の自分などを柔軟に変更できる」、「自分の価値を揺るぎなく感じる」、つまり”高い自己肯定感”を持つ必要がある

高い自己肯定感を保つには
自己承認を習慣化する 
 毎晩ポジティブな出来事を書き留める
自己対話を意識する 
 自分自身と「話す」ことで、自分の考えや感情を外側から見る機会を作る
長期的な視野を持つ 
 失敗をネガティブなものではなく、学びの機会や面白いエピソードとして捉える

以上により、他人からのフィードバックをポジティブに受け取るマインドを形成することができる。

最後に

私自身、斜に構える性格で、他人からのフィードバックや批評を素直にプラスとして受け取れないことが多くありました。ただ、やはり自分では気づけない視点や考え方は、他人のアドバイスを通してしか得られないことも多いはずです。

仕事でもプライベートでも、建設的な議論をするためには、物事をポジティブに、そして柔軟に捉えることが大切だと改めて感じています。

最終的には「自己肯定感が大事」というよく聞く結論にたどり着いてしまいましたが、それでも自己肯定感が多くの物事に良い影響を与えることを、私自身も再確認することができました。

Yoshi



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