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もの造り、日本と独逸&米国

今朝の虎ノ門ニュースで、作家の百田尚樹さんと産業遺産情報センター長の明加藤康子さんとが、「日本のもの造り」について面白い話をしていました。加藤康子さんは、EV推進の罠「脱炭素政策の嘘」という本を出版されており、よく売れているそうです。

 日本のEV化は、産業を弱体化させるという話が進行していました。面白い話というのは、「車の騒音」についての件です。「日本のレクサスもドイツのベンツも運転していても非常に静かである。エンジン音があまり聞こえないので、乗っていても快適です」と。

 百田さんの説明ですが、「日本の技術者は、騒音を最小にしようとエンジン自体を改良する。一方、独逸では、エンジンではなく、発生した音が車に乗っている人たちに届かないような工夫をしている。その結果として、レクサスもベンツも静かで快適です。」というのです。

 「そこに、日本とドイツのもの造りの精神の違いを感ずる」という話をしていました。合点がいく気がしました。

 少し分野が違うのですが、火力発電の話です。石炭でも天然ガスでも良いのですが、燃やすと当然のようにCO2が出ます。複雑な化学組成から構成される石炭からより多くのCO2が発生します。

 世界は、パリ協定以降、低炭素から脱炭素の動きが加速されようとしています。特にCO2を多量に発生する石炭には逆風が吹き続けており、座礁資産などと呼ばれています。

 天然ガスにしてもCO2が出るわけなので、これらの化石燃料を使って発電する場合は、CO2の大気への排出を減らすために、排ガス中のCO2を回収して1000m以上の深海や地中深く注入したりするCCS(Carbon dioxide Capture and Storage:CO2捕獲貯留)が不可欠であるといわれています。

 日本が主催する国際会議で米国などから講演がある場合、CCSを付けることを当然として話をする人がいます。米国には、圧力を失いつつある枯渇油田が相当あります。そこに高圧CO2を注入して、その圧力で萎えた原油を押し出すということを行っています。これがEOR(Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)というものです。

原油が増産されるわけですから、その原油は利益を生みます。火力発電の排ガス中のCO2を回収するコストも、その利益から賄えるということで、これはだいぶ前からビジネスになっています。つまり、火力発電技術を改良するのではなく、「EORありき」で考えているということで、独逸のもの造りに共通したところがあると感じました。

 一方、日本では、先進的火力発電技術を歴史的に開発して来ました。亜臨界圧(SUB-C)➡超臨界圧(SC)➡超々臨界圧(USC)と発電効率が高くなって来ました。さらに先進的発電技術として開発中の技術にGTFC(ガスタービン燃料電池複合発電)とIGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)があります。天然ガス系のGTFCの発電効率は65~70%、石炭系のIGFCは65%程度となっています。

日本のメーカーは、発電技術、燃焼や伝熱技術などを改良して、世界でも最高の発電技術を開発しています。CO2発生量も、IGFCの場合は、820g/kWh ➡ 590g/kWhと大幅に改善されています。

 日本では、北海道の苫小牧でCCSの実証試験を行い、良い結果、データを得たようです。しかし日本で行う場合、米国と異なり、枯渇しつつある油田やガス田が少ないのです。仮にCO2を捕獲回収して、数少ない貯留地にまで運んで注入しても、原油増産もないのでコストばかり掛かって、CCSは採算が合わないということになってしまいます。

FIT(Feed-in Tariff: 固定価格買取制度)制度を適用するという話もあるが、一般の消費者、私どもの電気代に跳ね返ってきます。政府がどのような政策でいくのか気になるところです。



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