久米島日記2-1
那覇での沖縄初日を終えた僕は、いよいよ久米島へ向かう当日を迎えた。那覇泊港(とまりこう)から久米島兼城(かねぐすく)港へのフェリーでの旅である。
泊港は2年半前に渡嘉敷島へ旅した時以来の訪問である。ちなみに泊港は通称「とまりん」と呼ばれている。各離島へ向かうフェリーや高速船が発着する沖縄の船の一大ターミナルである。
まずはモノレールに乗って泊港の最寄駅「美栄橋」駅へ。美栄橋駅から泊港までは歩いて10〜15分くらいの距離である。ほどなくして泊港へ着いた。久米島へ向かうフェリーは午前9:00の出発だ。窓口に乗船用紙を手渡し予約している旨を伝える。とても感じのいい女性の方が受付をして下さった。「お帰りの船はいかがされますか?」と確認をして下さったが、仕事で久米島へ向かう旨と帰りは5月になる旨を伝えた。
あとは出航を待つだけだ。いよいよ久米島へ向けて旅立つ時が来た。目的の島によって乗り場が違うため、久米島行きの乗り場を間違えないようしっかり確認し、いざ僕が乗るフェリーへと向かう。胸が高鳴る。旅をする手段としては飛行機や鉄道、車などいくつかの手段があるが、その中でもやはり船は一番旅情があるような気がする。一番わくわくするのが船での旅だ。どんな体験や景色が待っているのか。心を弾ませながら船へと向かった。
定刻9:00になり、僕が乗った船は久米島へと動き出した。「ポ〜ッ!」と、あの船特有の汽笛が高らかに響き渡る。この汽笛の音が、さらに旅情を掻き立てる。多くのお客様は船内で時間を過ごしていたが、僕は甲板の上で那覇の海を、那覇の街を眺め出航の時間を味わっていた。風は強く吹いていた。
船のスピードが早くになるにつれ、どんどん那覇の街は小さくなっていく。那覇の港から出た船は、左手に那覇空港を眺めながら針路を進める。この風景が那覇から船に乗るときの一つの楽しみでもある。
那覇の街がだいぶ小さくなったところで、僕は船内に戻った。船内は椅子席とカーペット席があり、大半の方はカーペット席で体を休めていた。そして体を横にし寝て過ごしている。この姿勢や過ごし方がおそらく船酔いしないための最善の方法なのであろう。どんなフェリーに乗っても、多くの方がこのような過ごし方をしている。この日は風が強く、船も左へ右へよく揺れた。船酔いをしたことがない僕であったが、さすがに少し酔いそうになってきた。遠くを眺めるなどの対策をしてみたが、ほどなくして僕も横向きの体勢になり、他の方がしているのと同様寝て過ごすことに決めた。
船は一路久米島へ向かっている。