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パンみみ日記「こたつの弊害」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


115日(火)
歯医者へ。親知らずを抜く。日記をしばらく読んでくれている人は「こいつはどんだけ抜くんだ」と思っているでしょう。放置していたのを今年バンバン抜いてるんです。ただこの3本目でラスト。とうとうここまで来た。

いろんな兼ね合いで、歯医者を変えた。診察は数回してもらったものの、ここでの抜歯ははじめて。ちょっと緊張する。

待合室でふと壁にサインが飾ってあるのが目に入った。飲食店ならわかるけど、歯医者も書いてもらうことあるんだ、と不思議がりながら眺める。すると、ぼくの好きなアーティストのサインを見つけた。

え? どゆこと? ここで診てもらってるのかな。そんなわけないよね? 「ここに通ってますよ」なんて情報さらさないよね? でも一時的に歯医者来ることある? PVで歯医者出てきたことあったっけ?

数々の疑問が生まれたけれど、とりあえず勇気が出た。

診察が始まってからは「緊張してますか?」「ゆっくり深呼吸しましょうね」「子供も大人もドキドキするのは一緒ですから」などと声をかけてもらった。

(欲しかったのこれこれ〜!)という気分になった。ぼくは歯医者ではまだまだ子どものように、大切に扱ってほしいらしい。

歯は無事に抜けた。よっしゃ。



116日(水)
仕事終わりに歯医者へ。抜歯したところの消毒。助手のお姉さんがニコニコとたくさん話しかけてくれた。

「大丈夫でした? まだ食べものとか詰まっちゃうと思うんですけど、うがいしすぎたりしないようにしてくださいね〜! こんなこと人に言いながら私、ピンセットでかさぶたごと取って泣いちゃうほど痛くなりました〜!!」

愉快な歯医者だ。ここにしてよかった。



117日(木)
仕事終わりにスーパーへ。ある棚の前で立ち止まる。

「おいしいおどん」なる得体の知れない存在が安さに挑戦している。

「水戸にはこんな郷土料理があったのか…?」と驚きつつ、商品を手に取る。普通に「おいしいうどん」だった。新しい食べものに出会えた胸の高鳴りを返してほしい。

夜ごはんはあったかいうどんにした。おいしかった。


118日(金)
家。こたつを出した。例年より早い気がする。去年はいつ、こたつ布団を広げたんだろう。今年は日記に書いたから振り返れる。

半身を包み、じんわりと温かさが広がる自分だけの空間を噛みしめる。こたつはいい。だがしかし、こたつの弊害を思い出した。

(皿洗いのやる気が起きなさすぎる)

ぬくぬくゾーンから抜け出し、冷えたキッチンに向かうなんて。誰がそんなことできるんだろう。

ゴロゴロしぬいた金曜日の夜。


119日(土)
行きつけの喫茶店へ。マスターに「おっ、なんかいい髪型じゃん」と頭をさわさわされる。親戚のやりとりっぽい距離感に心の中で笑みをこぼす。

しばらくすると、小さな女の子たちを連れた4人家族が入店してきた。ちびっこ姉妹は着物に身を包まれ、コロコロとした笑顔を振りまいている。そうか、七五三か。

マスターとマダムがかけ寄り、「ミキちゃんかわいいね〜!」「ミクちゃんも似合ってるよ〜!」などと声をかけている。

ふうん。名前を覚えられているんだ。「この子たちに常連力で打ち勝たねば」とライバル心を抱いた。

大人気ないね。


1110日(日)
しながわ水族館へ。久々にイルカショーを見て興奮した。毎回思うけど、どうやってパフォーマンスを教えているんだろう。トレーナーさんも見本を見せられるわけではない。先輩イルカの背中から学ぶのかな。

サバーン

ある水槽では、大々的に火災予防運動を実施していることを訴えていた。何がどうなってそうなったんだろう。

突然の啓発

海の生きものたち、子どものときからずっと好きだ。

夜にミネ君(真顔で冗談を言う親友)と合流。サイゼリヤで各々好き勝手にメニューを注文しまくる。3時間ほどおしゃべりした。9割恋バナだった。女子高生なのかな。

フラッと集まってサイゼでお腹を抱えて笑うなんて、あとどれくらいできるんだろうなと考える。でもまだできてるんだから、いっか。



【編集後記】
サイゼリヤのペペロンチーノを食べるたびに「思ったより辛いな、次はタラコソースシシリー風しよう」と思うのに、またペペロンチーノを頼んでしまう。なんでだろう。

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