建国記念日によせて -義務教育で教わらない日本の伝統文化-
「良いものじゃないんだけど思い入れがあるし、漆で綺麗になりますか?」
とのことで、尺八奏者の方から1尺3寸管をお預かりしていました。
トップ画像は
漆塗り前(下)、漆塗り後(上)です。
濃いめの朱を下塗りし、溜塗り仕上げにしました。
益々良い音がなることでしょう!(笑)
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建国記念日が何の日なのか、疑問を抱いたのは大人になってからでした。
社会人になってから思う日本の七不思議の一つ、
“なぜ日本の伝統文化を義務教育で教わらないのだろう”
日本に生まれて日本で暮らしているのに、未だに知らないことだらけです。
私にとって漆はとても身近です。
伝統的な音楽にも長く親しんできました。
なので、それらに付随するものには比較的触れる機会が多かったのではないかと思います。
主に仏具や神具、皇室の仕事を与る工房に弟子入りしたので、神社がどうの、お寺がああで、皇室がうんたら…
どれほど頭に残っているか分かりませんが、師匠は不勉強な弟子にもよく指導して下さいました。
教科書の伝統工芸のページは僅か1~2ページ。
テストにもさほど影響がないので授業でもさらりと触れる程度でしょうか。
以前、公立学校の先生を対象にした漆絵ワークショップの講師をさせて頂いたことがあります。
15名程の先生方を前に漆絵の説明をすると、
「漆って木なんですね!」という声が。
あまりに衝撃的だったので応えに窮しました。
後で聞いてみると、漆が木だとその日初めて知った方(で正直に手を挙げて下さった方)は5名でした。
恐らく相当な倍率を勝ち抜き公務員試験に合格した学業優秀な先生方。
知識は沢山お持ちだと思います。
ではなぜ知らなかったかといえば、教わっていないし、知る機会がなかったから。
子供が日本の文化を知る機会があるとすれば、家庭、学校、地域…
最近ならYouTubeも?と思いまいしたが、知らなければ検索できませんね。
私は子供の頃にたまたま機会があったので、漆、唄、和楽器には馴染みがあります。
でも、日本の伝統的な食文化、伝統建築、生活様式…
日本文化といっても山ほどあり、知らないことの方が当然多いです。
“日本人が日本のことを知らなすぎる”
これは自戒も込めてですが、最近特に感じることです。
日本贔屓の外国人の方が余程日本に詳しかったり。
んーこれで良いのか日本…
義務教育というのは「義務」というくらいだから最重要項目を教えているのだと思いますが、ここで習わないということは、
日本人が日本について学ぶのは「任意」であり、知りたければ自分で学んでね
ということなのでしょう。
授業で全て網羅することは出来ずとも、もう少し義務教育に取り入れられても良いのではないでしょうか。
最近は和楽器の授業もあると聞きますが、学ぶ機会はまだまだ少な過ぎると感じています。
亡き祖父母4名は説明不要で「蒔絵」の意味を理解していました。
両親の世代では蒔絵という言葉はほぼ通じず、同世代以下だと漆も理解されないことが多いです(私の場合です)。
興味のある人だけ、
たまたまご縁のあった人だけ、
日本の伝統文化はそんな限られた人だけで共有するものなのでしょうか?
建国記念日にあたり、つらつらと書いてみました。
最後までお読み頂き有難うございます。
#建国記念日
#日本文化
#伝統文化
#義務教育
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