災害損失に関連する費用の法人税取扱いについて
近年、地震や台風、集中豪雨による災害が頻発し、法人の事業活動に深刻な影響を及ぼすことが増えています。
災害に伴う法人税の取扱いについては、東日本大震災以降、国税庁が「災害に関する法人税等の取扱いFAQ」を公表し、その後も改正が続いています。法人の被災状況や支援内容に応じて、以下の項目に分けて説明します。
1. 被災した法人の取扱い
(1)災害で滅失・損壊した資産の損失
商品や固定資産が損壊した場合、その損失額を損金として計上可能です。
除去費用や土砂除去費用も対象になります。
(2)被災資産の評価損
災害で資産の時価が帳簿価額を下回る場合、評価損として損金に計上できます。
(3)修繕費と資本的支出の区分
原状回復にかかる費用は修繕費として扱われますが、補強や防止措置も含まれます。
(4)損失金の繰越・繰戻
災害で生じた損失金額は10年間繰り越し控除できます。
(5)災害損失特別勘定の設定
修繕費の見積額を特別勘定として計上可能です。
(6)従業員への災害見舞金
被災した従業員への見舞金は、福利厚生費として損金算入できます。
(7)仮設住宅の設置費用
被災従業員用仮設住宅の設置費用も損金として認められます。
(8)賃借資産の補修費
賃借している資産が被害を受けた場合、修繕費として計上可能です。
(9)申告期限の延長
災害で期限までの申告ができない場合、申告期限の延長が認められます。
2. 災害支援を行った法人の取扱い
(1)取引先への災害見舞金
取引先復旧支援を目的とした見舞金は交際費に該当せず、損金として認められます。
(2)取引先役員等への災害見舞金
取引先の役員個人への見舞金は交際費扱いですが、特定の基準に基づく場合は損金算入が認められます。
(3)売掛金等の免除
災害支援として売掛金の免除を行った場合、その損失は寄附金に該当せず損金として扱われます。
(4)復旧支援融資
被災取引先に対する低利・無利息融資も、損金として算入されます。
(5)自社製品の無償提供
被災者救援のための自社製品提供は、寄附金扱いとせず、損金として計上可能です。
(6)ボランティア活動中の人件費
被災地で活動する社員の給与は、寄附金には該当しません。
(7)災害救助法適用地域の義援金
義援金を募金団体に拠出する場合、国等に対する寄附金として損金算入可能です。
参考情報
実際の税務申告の際には、FAQや関連法令を参照し、税務署への別表添付を行う必要があります。最新のFAQも確認してください。