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令和6年度税制改正で見直された中小企業倒産防止共済

背景

令和6年度の税制改正では、中小企業を支える「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」に関する規定が見直されました。この改正は、制度本来の目的である「倒産リスクへの備え」を確保するため、不適切な利用を防ぐことを目的としています。

問題となっていた利用実態

  • 解約と再加入の増加
    加入後3~4年目になると解約手当金が積立額の100%になることを利用し、解約→即再加入する動きが顕著化していました。

    • 再加入者の約16%がこれに該当し、そのうち8割が解約後2年以内に再加入している状況でした。

  • 制度本来の趣旨から逸脱
    解約・再加入が繰り返されることで、共済金の貸付額が不安定になり、連鎖倒産リスクへの備えが十分に機能しなくなる懸念が指摘されていました。

    • この現象は中小企業庁も「本来の趣旨に沿った利用とは言えない」として問題視していました。


改正のポイント:解約後の再加入時の損金算入制限

具体的な改正内容

令和6年10月1日以降に解約した場合、解約日から 2年間は再加入後の掛金に損金算入特例が適用されなくなる ことが定められました(措法66の11〔2〕)。

  • 対象範囲

    • 中小企業倒産防止共済契約を解約し、その後再加入した場合。

    • 法人税のほか、所得税についても同様の制限が設けられています。

適用時期

この改正は 令和6年10月1日以降に解約した契約 について適用されます。再加入した契約に係る掛金が対象となるため、計画的な利用が求められます。


改正による影響と期待

  • 不適切な利用の抑制
    解約後の即時再加入を防ぐことで、積立金額や共済金貸付額の安定化が期待されます。

  • 本来の趣旨への回帰
    中小企業倒産防止共済制度が、連鎖倒産リスクへの備えという本来の目的に沿った利用が促進されると見られています。


まとめ

令和6年度税制改正では、中小企業倒産防止共済における「解約→再加入」の利用が注目され、不適切な利用を抑えるための改正が行われました。特に、解約後2年間の損金算入制限が設けられたことで、税制上のメリットを最大限活用するためには、より計画的な活用が必要となります。この改正により、共済制度の安定運用と中小企業の倒産リスクへの備えがさらに強化されることが期待されています。

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