法人による暗号資産の税務処理概要
企業が暗号資産(仮想通貨)を法人税においてどのように扱うかを簡単に説明します。
1. 暗号資産の定義
法人税法上、暗号資産は「短期売買商品等」として扱われ、ビットコインなどの暗号資産もこれに含まれます。短期的な価値の変動を利用して利益を得ることを目的とする資産として定義されています。
2. 取得価額の計算
暗号資産を取得する方法により、以下のように取得価額が決まります。
購入した場合: 購入価格に手数料などの関連費用を加えた金額
発行した場合: 発行に要した費用
その他の方法: 取得時点の通常の市場価格
マイニングなどで取得した暗号資産は、取得時の市場価格を収益に計上し、必要経費は損金として処理されます。
3. 譲渡損益の計上
企業が暗号資産を売却や交換した際の譲渡損益は、契約日基準で益金または損金として計上されます。評価方法として移動平均法または総平均法のいずれかを選択し、選択を税務署に届け出る必要があります。届出がない場合は移動平均法が適用されます。
4. 年度末の時価評価
事業年度末に保有する市場性のある暗号資産は、時価評価を行い評価損益を益金または損金に算入します。評価損益は翌年度で洗替処理を行います。
5. 時価評価対象から除外される暗号資産
自己発行した暗号資産や譲渡制限付きの暗号資産については、時価評価から除外され、原価法を選択可能です。この場合も税務署に届出が必要です。
6. みなし譲渡
暗号資産の性質に変更が生じた場合は、みなし譲渡として処理され、帳簿価額または市場価格で譲渡とみなして損益を計上します。この規定は令和6年度から新たに適用されます。
7. 未決済の暗号資産信用取引
事業年度終了時点で決済されていない暗号資産の信用取引は、みなし決済として利益または損失を計上し、翌年度で洗替処理を行います。
以上が、法人が暗号資産を取得・保有・譲渡する際の法人税における基本的な取扱いです。