個人事業主のための必要経費と収入計上のポイント
個人事業主は、令和6年分の事業所得を計算する際、総収入金額と必要経費を正しく集計する必要があります。正確な所得計算のために、以下の点に注意しましょう。
総収入金額に含まれるもの
事業から得た売上や、それに付随する収入は総収入金額に含まれます。具体的には:
売上金額(売掛金を含む)
棚卸資産の自家消費
仕入価額または通常の販売価額の70%の高い方を収入に計上
金銭以外の物や権利などの経済的利益の価額
仕入割引やリベート収入
作業くず等の売却代金
棚卸資産の損失による保険金・損害賠償金
買掛金の債務免除益
消費税の益税
雇用調整助成金 など
※事業以外の暗号資産取引やアフィリエイト広告収入は、雑所得として計上します。
必要経費になるもの
事業運営に必要な費用は、必要経費として計上できます。例えば:
仕入代金(買掛金を含む)
広告宣伝費
運送費
従業員給与
賃借料
減価償却費
水道光熱費
必要経費にならないもの(家事費)
事業に関係のない支出は「家事費」として、必要経費に含められません。具体的には:
事業主自身や家族の生活費
医療費
娯楽・遊興の費用
事業主自身や家族に支払う家賃や給与
※青色事業専従者給与の場合、適正な額であれば全額が必要経費になります(税務署への事前届出が必要)。ただし、専従者となる家族は配偶者控除や扶養控除の対象外となります。
事業主自身の生命保険料
自宅の火災保険料
自宅の住宅ローンの利息 など
家事関連費のうち必要経費になるもの
事業と私生活の両方で使用する費用(家事関連費)は、原則として必要経費にできません。しかし、面積や使用時間などの合理的な方法で按分し、事業に必要な部分を明確にすれば、その部分は必要経費として計上できます。
按分方法の例
店舗(事務所)併用住宅の地代家賃、損害保険料、減価償却費、住宅ローンの利息など
面積、使用頻度、使用時間で按分
水道光熱費、インターネット通信料金、電話代など
使用時間、使用頻度、設備の数で按分
自動車の保険料、自動車税、車検代など
業務使用の運行記録で按分
まとめ
正確な所得計算のためには、総収入金額と必要経費を正しく区分し、適切に計上することが重要です。特に、事業と私生活が混在する費用については、合理的な方法で按分し、税務上のリスクを避けましょう。