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過程の方が大事、そんなこと頭ではわかってる

「結果を追い求めることで得られるのは、束の間の快楽に過ぎない。真に幸福になるためには、結果に至る過程にフォーカスすることが大切だ。」なんて話はよく聞くのではないだろうか?

そんなこと、頭ではわかってる。それでも無意識に結果を求めてしまう。結果を出せないまま過程の大切さを主張しても、負け犬の遠吠えにしか聞こえない。そうなると結局、やっぱり結果の方が大事なんじゃないか、という風に思えてくる。

だから大切なのは、
「なぜ結果に執着せずにはいられないのか?」
「どうすればこの呪縛から逃れられるのか?」
「過程にフォーカスするというのは具体的にはどういうことなのか?』
ということではないだろうか?

まず、私たちが結果に固執してしまう理由を考えてみよう。
そのために「目標」を「手段としての目標」と「最終目標」の2つに分けてみる。「手段としての目標」は、多くの人が考えるような、お金・地位・名誉といった何かしらの成果を手に入れることである。対して、「最終目標」はそれらを手に入れた時に感じていたい感情を表す。
例えば、「お金持ちになりたい」というのは「手段としての目的」であり、「生活に十分なお金を手にして、安心して暮らしたい」というのは「最終目標」である。あるいは、「お金持ちになって人々から注目されたい(愛されたい)」というのが「最終目標」かもしれない。

一般的には、「結果を出す」=「手段としての目標を達成する」という意味である。とすると、
「なぜ本当に欲しいはずの『最終目標』はそっちのけにして、『手段としての目標』にこだわってしまうのか?」
ここに問題を解く鍵があるように思われる。
「手段としての目的」(お金・地位・名誉など)は客観的に認知しやすい。対する「最終目標」は、個人の感情であるため測定しづらい。そのため「手段としての目的」の方が社会的に評価される。そしてだからこそ、社会から賞賛されるべく、「手段としての目標」を求めることをやめられないのではないだろうか。
つまり、私たちの根底にあるのは、「手段としての目標」への渇望ではなく、それを手に入れた結果として、他者から認められたい、愛されたいという強い感情的欲求なのだ。


ということは、この果てしない結果への執着を手放すには、根底にある感情的ニーズを手放すほかない。そのためには常に「最終目標」=「何を感じていたいか」に集中することが重要である。そして多くの場合、その感情的ニーズは「今ここで今すぐに」手に入れることができる。

「そんなバカな。精神論だけで問題は解決しない!」と反論する人もいるだろう。私もそう思う。全ての物事が精神論で片付くわけではない。しかし、多くの問題は精神論で解決できる。
「何かを手に入れれば幸せになれる。」と思っている限りはいつまで経っても心は満たされない。何かを手に入れても、すぐに次の何かが欲しくなる。だから今目の前にあるもの、今自分が感じていることに注意を向けて、「感じたかった感情」はもうすでに手に入れていたのだということに気づく他ないのだ。

そしてそれこそが「過程にフォーカスする」ということの真の意味である。「過程を大切にする」とは、結果に至るまでの方法ではなく、結果へと至る最中に、自分が最終的に感じていたい感情を感じれているかに目を向けることなのだ。

例えば大学受験で考えてみよう。「手段としての目的」は「大学に合格すること」であり、「最終目的」は「人として成長したい」だとしよう。この場合、「結果を重視する」=「試験の合否を重視する」ということ。それに対して「過程を重視する」とは「日々勉強をする中で、人として成長できていると感じれているか」を意識することである。

勉強方法や内容に注目して「過程を重視する」といったって、負け犬の遠吠えでしかない。勉強法が間違っていたとか、そんなふうに結果重視の思考に絡め取られるのが関の山だ。でもそうではなく、「最終的に感じたかった感情を、日々の中で感じられていたか?」に意識を向ければ見え方は変わってくる。もしも結果に至る過程の中で「最終目標」を達成できていたのなら、「手段としての目標」を達成できたかどうかに囚われる必要はない。

この意味において、「永遠の幸福を手に入れるためには、過程にフォーカスすることが大切だ。」という主張は全くもってその通りだと思う。結果にフォーカスしていると、望んだ結果が手に入らなかった時には失望するだけだし、手に入ったとしても期待通りなのだからあまり嬉しくない。一方で、過程にフォーカスした場合には、毎瞬欲しいものは手に入っているのだから、常に心は満たされ続ける。

だから、過去に望んでいた結果が手に入らなかったにしろ、これから何かを手に入れようとするにしろ、「それを手に入れた暁には自分は何を感じていたいのか」をよくよく考えることが大切だと思うのだ。そうすれば沢山の不必要な苦しみを感じなくて済む。そんな風に思ったこの頃です。

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