『溶けゆく夏』
『溶けゆく夏』
ぼくの悲しい出来事。
些細なミス、手作りアイスの底付き、ナンバガの解散。
一気に、夏の終わりが見えてきた。儚い。
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普段から無気力なぼくは、かろうじて理性を保ち、社会に置いてけぼりを喰らわないように、ベッドから立ち上がる。
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干からびて死んでしまわないのは、現代のリモコンという発明のおかげ。
危機一髪でクーラーに、すがる。
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海は相変わらず非情なほどに輝いて、こちらに平穏を呼びかけているけれども、ぼくは君の溢れんばかりの輝き加減に毎度心を折られているよ。
車窓から海原を横目に、贅沢なほどに効いているクーラーとイヤホンの音楽で、無敵の夏をひと時味わっている。