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よる
2021年6月10日 22:54
「才能のある人しか、そういうことは言っちゃいけないと思う」 昼間に投げかけられた言葉を反芻して、陽葵は小さくため息をつく。 前髪の先から滴る水が、張られた湯に波紋をひろげた。 突然現れたウイルスのせいで感染症が爆発的に流行し、陽葵たちの代は就職難民と言われた。ただでさえ自分をアピールすることに向いていないのに、この状況になってしまえばお先は真っ暗だと、彼女は確信していた。 嘘をついているよ
2021年6月25日 01:39
忘れたくて 必死で 自分のなかにあるものを 吐き出した 脳が麻痺して わからなくなってく あなたが誰だったのか 私達が何をしたのか気がつけば 泣いていて 欲しくて たまらなくなる この感覚が気持ち悪くて 大嫌い なのに 症状は治らないあなたの名前を見るたびに 高揚 緊張 焦燥 絶望 する 記憶が 引っかかって あなたの体を 蘇らせる ずっしりと重たい からだ わたしは 呼吸が浅くなる 動悸が