⑤後編「多様な働き方」の導入プロセス
おはようございます。社会保険労務士、中小企業診断士の萬屋です。今週のトピック最後は「多様な働き方」の導入プロセス、です。
昨日は代表的な失敗事例と留意点について確認しました。後半の今日は、失敗事例のようにならないような「多様な働き方」の導入方法について書きます。
3.「多様な働き方」導入のプロセス
昨日の続きで、いよいよ本題です。失敗事例のようにならないため、留意点を踏まえて導入プロセスを構成しますが、PDCAサイクルに則って4つのステップに分けてみます。
3.1. Plan(計画)
現状分析と目標設定:
現状分析: 現在の働き方、従業員のニーズ、課題などを把握します。アンケート調査やヒアリングなどを活用し、従業員の意見を収集することが重要です。
目標設定: どのような働き方を導入したいのか、導入によってどのような効果を期待するのかを明確にします。生産性向上、従業員満足度向上、優秀な人材の確保など、企業の戦略に合わせて目標を定めます。
3.2. Do(実行)
制度設計と環境整備:
制度設計: 目標達成のために必要な制度を設計します。フレックスタイム制、テレワーク、時短勤務、副業・兼業許可など、多様な働き方を支援する制度を検討します。就業規則の変更が必要な場合もあります。
環境整備: 制度を運用するための環境を整備します。ITインフラの整備、セキュリティ対策、コミュニケーションツールの導入など、円滑な制度運用をサポートする環境を整えます。
人事評価制度の見直し: 成果に基づいた評価制度に見直すなど、新しい働き方に合わせた制度に見直すことも検討します。
周知と理解促進:
周知、啓もう活動: 新しい制度や働き方について、従業員に周知・啓蒙します。説明会の実施、マニュアルの作成、社内報での情報発信など、従業員への理解促進を図ります。
管理職への研修: 管理職が新しい働き方を理解し、適切に運用できるよう研修を実施します。
トレーニング: 新しい働き方に関するトレーニングを実施します。テレワークでのコミュニケーションスキル、時間管理スキルなど、従業員のスキルアップを支援します。
相談窓口の設置: 制度利用に関する疑問や不安に対応できる窓口を設けます。
3.3. Check(測定と評価)
試行(トライアル): 一部の部署や従業員を対象に試行期間を設け、運用上の問題点や改善点を洗い出します。
評価: トライアルの結果を評価し、目標達成度合い、従業員満足度、生産性への影響などを分析します。
改善: 評価結果に基づいて、制度や環境を改善します。
3.4. Action(対策・改善)
全社展開: 試行・評価・改善を繰り返しながら、全社的に新しい働き方を展開します。
定着化: 新しい働き方が定着するように、継続的なサポートと改善を行います。
アンケートやヒアリング: 従業員からの意見を定期的に収集し、制度の改善に活かします。
最新情報の収集: 働き方に関する法改正や社会情勢の変化に対応できるよう、最新情報を常に収集します。
まとめ
6日間に渡り「多様な働き方」について書きましたが、会社が働き方を変えるというのはかなり大掛かりで、評価制度やトレーニング、カルチャーにまで影響することがおわかりいただけたかなと思います。じっくりと時間をかけて一つ一つ着実に進めることが重要で、うまく活用できれば多様な人材の登用、社内の活性化、会社の成長につながるはずです。