伝えることから始めよう ただ、今を生きる ジャパネットたかた創業者 高田明氏自伝
誰向けの内容か?
・物やサービスを販売する仕事をされている人
・自分の思いを伝えたい人
・ジャパネットたかた躍進の秘密を知りたい人
この本を読もうと思ったきっかけ
ジャパネットたかた創業者で元社長の高田明氏。
甲高い独特の声で商品を一生懸命に説明している姿が印象的な方。
みなさん一度は見たことがあるのではないでしょうか?
正直なところ僕は一度もジャパネットで買い物はしたことがありません。
ただ、テレビでやっていたらついつい見ていました。
うまく言語化できないんですが番組として面白いんですよね。
一つの商品でも色々な使い方が出来るんだなぁ、そういう発想もあるんだなぁと新しい発見があって見ていて退屈しない作りなんです。
そんなジャパネットたかたの創業者が書いた自伝にはすごい興味を惹かれました。
今を一生懸命生きる
本書は高田氏が25歳のときから家業でもあった「カメラのたかた」を手伝うために故郷に帰ったところから始まります。
25歳までは会社員で海外を飛び回っていたが思うところがあって退職しました。
退職の一番の理由は親友に誘われて2人で事業を始めたことです。
しかしその事業はあまり上手くいかずに故郷へ戻ってきて家業の手伝いを始めたんです。
最初は会社を大きくしようとか大きな志はなく、なんとなく手伝い始めたみたいなんです。
そこでの仕事はものすごく忙しく朝から晩まで色々な場所を駆けずり回っていました。
そのときに目の前の仕事に一生懸命取り組んでいたらおのずと課題が見えてくるんです。
その課題を解決する方法を一生懸命に考えると解決のためのアイデアが出てくる。
そしてまた一生懸命に仕事に取り組んでいたら・・・
というように目の前のことに真剣に取り組んでいれば階段を1段1段登るようにだんだんと会社が大きくなったといいます。
現代の変化の激しい時代に将来のことは誰にもわかりません。
そして過去も変えられません。
じゃあどうすればいいか?
そうです、「今を生きる」ということがとても大事なんですね。
僕は読んでいてすごくしっくりきました。
すごくシンプルですが今の時代を生き抜くための方法として地に足がついたしっかりとした考え方だなぁとファンになってしまいました。
「伝えたつもり」ではなく「伝わる」
他人になにかを伝えるときに自分本位で伝えるとどうしても「伝えたつもり」になりがち。
そうではなく相手に「伝わる」のが大事です。
伝わるためには「スキル」「マインド」「ミッション」が大事なんです。
マインドはパッション(情熱)です。
売りたいと思っている製品についてやる気を持って伝えているか?
本当によさを伝えたいと伝えたいとおもっているのか?
例えば、お店の店員さんにやる気が見られなかったり、無愛想だったらその人からは買いたいとは思いませんよね?
ミッションとは「何のために伝えたいのか」ということ。
例えばジャパネットで言えば商品の先にある「感動」や「幸せ」を伝えたいと思っています。
お客さんの立場にたってこの商品を使ったらどんないいことがあるんだろうと具体的に想像して伝えて上げることが大事なんですね。
最後にスキルは文字とおり細かな技術的な手法です。
高田氏が一番大事にしていたのは「上手く伝えるよりもわかりやすく伝える」ということです。
なるべく平易な誰でもわかるような言葉を使うことを心がけていたそうなんです。
例えばカメラでいえば、「ピントをあわせる」という言葉は使わずに「距離を合わせる」と言ったり、「ズーム」という言葉も「遠くのものを近づかずに大きく撮影出来る」といった感じです。
読んだときにそこまでするか!というくらいに、よーくすりつぶして言葉を飲み込みやすくしてくれているんだなと。
いつも取り扱っている商品やサービスだとどうしても専門用語になれてしまい気をつけていてもポロッとでてしまうことがありますよね。
伝えたいと思ったときはここは特に気をつけていきたいなと改めて思いました。
秘すれば花
あるとき高田氏は社員に「社長の生き方と同じ本がありました」と世阿弥の「風姿花伝」を渡されました。
世阿弥は室町時代に父の観阿弥と一緒に能を大成させた人物です。
その世阿弥が秘伝の書として書いたのが風姿花伝です。
その中で「秘すれば花」という言葉が出てきます。
サプライズ(意外性)が大事ということです。
ビジネスではサプライズが大事で常に同じようなことを続けていては次第にお客さんから飽きられてしまいます。
それを避けるために常に変化をしてお客さんにサプライズを与え続けることを目指して試行錯誤することが大事なんですね。
まとめ ストイックで何事も一生懸命な人
本書を読んで高田明氏のファンになってしまいました。
伝えるためのスキルで「上手く伝えるよりもわかりやすく伝える」という言葉がありましたが本書でもいかんなく発揮されています。
難しい言葉は一切出てきません。
それは読者に伝わるように、伝わる方法を身に着けて幸せになってほしいという願いが文章に表れていました。
本書を読むとテレビでも聞いたことある高田氏の甲高い声で語りかけてくれているような文体です。
この記事では書ききれませんでしたが、高田氏の幼少期~会社員時代までの生い立ちや細かなスキルも説明されていました。
非常に面白く読ませていただきました。ありがとうございました。
興味がある方は是非読んでみてください。
何かを伝えたいと思っている人の役にきっと立ってくれますよ。おすすめです。