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道草植物図鑑No.24「ヒルザキツキミソウ」
どんどん日が長くなり、空き地や公園、道端の草たちが青々と背を伸ばし始めました。
色んな虫たちとの遭遇率も高くなって賑やかな季節ですね!
歩道を歩いていると、植枡の中で可愛いお花を見かけました。
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ピンク色のカップみたいな形のお花!可愛すぎる!
こんなティーカップあったらいいな。
この花の名前は「ヒルザキツキミソウ」。
夜に花を咲かすツキミソウに似ているけれど、昼も咲いているから。
というのが命名の理由だそう。そのまんまの命名です。
ツキミソウもヒルザキツキミソウも、ともにマツヨイグサ属の植物です。
漢字で書くと待宵草(マツヨイグサ)の名の通り、マツヨイグサ属の植物は夜に咲くものが多いようです。
月見草とか、待宵草とか、命名がロマンチックだなぁ。
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コマツヨイグサ
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とはいえ、彼らは月を見るために宵を待っているわけではありません。
受粉のために蛾を待っています。
夜行性の蛾に花粉を運んでもらうことで、他の植物との競争を避けているそうです。
一方でヒルザキツキミソウはお昼に咲いているので、チョウやハチに花粉を運んでもらいます。
(他のマツヨイグサ属と同じように、蛾にも運んでもらっているのだろうか?
逆にコマツヨイグサもお昼に咲いてたりするから、ハチにも花粉を運んでもらってるかもしれない。)
花にぐぐっと近寄ってみると真ん中に十字の雌蕊があり、そのまわりを長い雄蕊が取り囲んでいます。
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この長い雄蕊は、足の長いチョウなどの昆虫がやって来ても確実に花粉をくっつけるためなのだそうです。
また、花粉はネバネバ納豆のように糸を引いて、昆虫たちの体にまとわりつくようになっています。
なるほど、その手があったか!と思わず唸ってしまう方法ですね!
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花びらは薄い桃色に、模様のような脈が走る。
とても美しい見た目をしています。
さっきティーカップみたいと書きましたが、ここに日本酒を注いで月見酒もいいなという気もしてきました。
お昼間からゆっくり飲んで月を待つ、のんびりとした休日。
いいな。
ちなみに学名の「speciosa」はラテン語で「美しい」という意味。
見た目の美しさから、最初は観賞用として導入されたアメリカ原産の帰化植物だそうです。
環境適応能力が強く、観賞用として栽培されていたものが逃げ出して野生化し、分布を拡大しています。
美しい容姿と、環境適応能力を駆使して海を渡り、分布を拡げる。
なんか、カッコいい!
美しいけれど、派手すぎず、可憐だけど、ちょっとミステリアスな雰囲気を醸し出している。そしてどんな環境でも物怖じせずに凛としていられる。
理由がよく分からないけれど、何故か惹かれてしまう人ってそんな人な気がする。
そしてそれは植物にもいえることかも。
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ヒルザキツキミソウ
Oenothera speciosa
アカバナ科マツヨイグサ属
北アメリカ原産
花時期:6〜9月
生育地:路傍、空き地など
出典:花と葉で見わける野草/近田文弘・亀田龍吉・有沢重雄
街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本/岩槻秀明
形とくらしの雑草図鑑/岩瀬徹・飯島和子
散歩で見かける草木花の雑学図鑑/金田洋一郎
散歩が楽しくなる雑草手帳/稲垣栄洋