新聞広告のイメージが変わる!“読みにくい”から気になる秀逸なアイデア
先日、「読みにくい」という手法で人の目を惹きつける広告の事例を紹介しました。
この記事を書いているときに、そういうロジックで作られた広告って案外多いかもしれないと思いました。
気になって調べてみると、結構ある。昔から使われてきた手法でしょう。
その中でも、「読みにくい」というより「読みにくすぎる」とさえ思う大胆なアイデア広告を見つけたので取り上げます。
人類の1/3しか見えない?トリックアートを使った広告
ツイートの画像に映る一見黒い紙。
2019年にメガネブランドの「JINS」がとあるプロジェクトの広告主となって出した新聞広告です。
何やらうっすらと文字が見えますね。
これは黒い斜線の中から文字が浮かび上がるトリックアートなんですが、誰でもスッと読めるわけではなく、近視の人にしか読めないというもの。
キャッチコピーに書かれた「人類の1/3」とは、近視の人の割合だったのです。
字面として強いだけでなく、発見のあるコピーですね!
私もかなり目が悪いので「それなら余裕で読めちゃうわ〜」と思いましたが、最後の一文しか読めず、「あれ?」と角度を変えたりと苦戦していたら、コンタクトつけてました。
・・・メガネをかけてる人であればすぐに外して確認できるので、本当にターゲティングがしっかりしてますね!
無念にも読めなかった人のために本文を載せます↓
みなさんは読めましたか?
私はなかなか読めなくて、ムキになって読んでやろうと試行錯誤しました(笑)。
そういう心理も計算して、仕掛けを作ってそう。
一般的な広告ならここまで読もうと思わないので、やはりアイデアと見せ方がうまくできているなと思います。
読む人に気づきを与える、鏡文字を使った広告
続いては「ロート製薬」が10月10日の「目の愛護デー」にちなんで作った新聞広告です。
文字を左右に反転させた鏡文字になっています。
でも、不思議と読めちゃう。
鏡文字を読み解こうとするときに目の負担を意識させることで、「目を労わろう」というメッセージを効果的に伝えています。
このほかに、ロート製薬の公式サイトでは「読みにく過ぎる新聞広告」と称した広告を2つ出しています。
遊び心を感じさせつつ、目について考えるきっかけを作っている面白い試みだと思います。
水滴をのぞくと見えてくるものは?新聞紙を活かした広告
こちらも一見「なんだ?」と思わせる新聞のビジュアル。
広い余白の中にある、3つの水滴に目がいきます。
水滴が落ちているところをよく見ると、「ツアーDVD」「ミスターチルドレン ベストアルバム」 という単語が見えます。
これは2001年のMr.Children「Best Album, DVD, Tour」の新聞広告で、水滴の部分からDVDの発売情報が読み取れるという仕掛けなのです。
ハッとする気づきと同時に、水滴から情緒も感じさせるアイデアがすごく素敵だなと思います。
言葉も情報も最低限なのに、エモーショナルな気持ちにさせられるのは、水滴が涙とか汗に結びつくからなのか・・・?と想像力を掻き立てられます。
ここまで3つの広告をご紹介しましたが、これらの事例が秀逸な理由をまとめてみました。
企業の商品・サービスと結びつけるフックがある
JINSとロート製薬で共通しているのは、どちらも「目」にまつわる会社だということ。
トリックアートや鏡文字はアイデア単体でも面白いですが、それを見ている「目」そのものに意識を向けさせることで、メガネと目薬の広告を出す意味があるし、コピーを読み解いた後も説得力があります。
「なんでこんなに読みにくいの?」というのも、実はちゃんと商品の価値につながるように計算されていたんですね。
新聞の媒体としての特性を活かしている
意図せず3つとも新聞広告でしたが、なぜ新聞広告なのか?というのもしっかり考えられたアイデアだなと思いました。
ポスターでは仕掛けに気づかれずスルーされてしまうかもしれませんが、新聞という読者と近い媒体(=メディア)だからこそ、少し理解するまでに時間がかかる広告でも読んでもらえる可能性が高まります。
JINSの例で言えば、文字が読めるように新聞を持つ角度を調整してみたくなります。
Mr.Childrenの例は、水が落ちたら文字が透けるという新聞の紙質を利用したアイデアです。
新聞ならではの仕掛けが、広告をより魅力的にしています。
新聞広告の可能性を感じさせてくれるユニークなアイデア広告でした!
ここまで読んでいただきありがとうございました!参考になったらうれしいです。また、気になる広告があればまとめたいと思います。
文:ハギ
@よりみちコピーライター
◇ スキとフォローしてくれたら喜びます ◇
◆ Twitterもやってます ◆