シュレッダーゴミを、デザインの力で生まれ変わらせる!広告制作会社が始めたSDGs
私の職場は、広告の制作会社です。
主に「グラフィック広告」と呼ばれるものを日々つくっています。
グラフィック広告とはたとえば、新聞・雑誌広告、ポスター、カタログ、パッケージのことを指します。
紙を使って広告をつくる。言い換えれば、グラフィック広告には”紙の存在”が必要不可欠です。
今回は、一制作会社がそんな紙の大切さを再認識し、SDGsへの一歩を踏み出したきっかけについてお話しします。
関東一、シュレッダーゴミを出す会社!?
会社に置かれている数台のコピー機は、日中ひっきりなしに音を立てています。
みんなが資料を印刷するのはもちろんですが、制作会社と他の会社の大きな違いは、デザインデータを確認することです。
デザイナーがパソコンでつくったデータを印刷して、デザインの見え方を確認するのです。
デザインの色やパターンを検証したり、実物の大きさに合わせて分割して印刷したり、作業の上で紙を使うのはごく自然なこと。
そして大量に刷られた紙は、シュレッダー行きに。
広告は発売前の商品情報や企業の機密情報が満載なので、そのまま捨てることができないのです。
これが実際のゴミ。90リットルの大型ポリ袋に詰められています。
90リットルというと、家庭で使われることはあまりないでしょう。清掃活動をしている人が持って歩くイメージがわかりやすいと思います。
会社で在宅勤務が導入される前は、各制作室から90リットルのゴミが3袋、毎日出ていました。年間で計算すると、315個。
数字にしてみるとびっくり。
さらに昔の話では、コピー機メーカーの担当者から「枚数カウンターが関東で一番」と言われたこともあるほど。
関東で一番なんて簡単に取れるもんじゃない・・・!
現在その不名誉な称号はありませんが、それなりの量を印刷しているということなんです。
ひとりの新人の声がきっかけに
シュレッダーゴミを封筒にアップサイクルする
2021年の夏、ひとりの新人デザイナーが言いました。
「シュレッダーゴミを、紙プロダクトにしたい」
それは、私たちの会社の固定観念を壊す斬新なアイデアでした。
どんなアイデアかというと、会社で出したシュレッダーゴミを封筒にアップサイクルするというもの。
アップサイクルはリサイクルと似ていますが、少し違います。
もともと会社ではシュレッダーゴミを再生紙にする取り組みを行っていますが、これがリサイクル。
アップサイクルの場合は紙に戻すだけでなく、紙の素材を生かして新しいものを生み出します。
履かなくなったジーンズをバッグにする、不要になったホテルのシーツをTシャツにする、コーヒーかすでボディスクラブをつくるなど、さまざまな事例があります。
私が素敵だと思ったポイントは、物づくりを生業とする会社だからこそ、とても意義があるということです!
ただ封筒にするのではなく、プロがデザインするという価値がそこにはあります。他にないオリジナリティと言えます。
気づけば、鈍感になっていた
新人デザイナーからこの話を聞いた時に「え、すごくいい!」と反射的にリアクションしていました。一緒に話を聞いていたシノも賛同。
自分が考えたアイデアでもないのに、とても気持ちがワクワクしたのを覚えています。
それはきっと、自分自身が社内で出るシュレッダーゴミの多さに”違和感”を抱いていたからです。
私だけじゃなくみんなが思っていたでしょう、「これって普通じゃない」「もったいない」と。
ですが、みんな無意識にこうも思っていたはずです。
「でも仕方ない」「うちの会社では当たり前なんだ」
もったいないと思っていても、そのゴミをどうにかする権限は個人にない。思うだけで、何かを変えられるとは考えなかった。
私も入社した当初に驚いた記憶があります。「うちの会社って、こんなに毎日シュレッダーゴミが出るんだ」と。
でもだんだん慣れてしまう。紙を使うことが当たり前になって、捨てることも躊躇しない。紙に対する意識が、鈍感になっていました。
新人ならではの視点が、その大切な感覚を思い出させてくれました。そして、社内に新しい風を入れてくれたんです!
会社初のSDGsプロジェクトが始動!
「PAPER CYCLE PROJECT」
アイデアを実現させるべく、発案者の新人を中心にプロジェクトチームができました。ハギとシノも参加しております。
プロジェクト名は「PAPER CYCLE PROJECT」、略して「PCP」です!
ロゴはプロジェクト名を円形に配置することで、視覚的に「循環する」仕組みを伝えます。
そして、プロジェクトのメッセージを端的に伝えるために考えたのが、「くり返すを、デザインする。」というタグライン。デザインの力を活かして、「紙と自然の循環をデザインする」という意味を込めました。
広報担当よりみちコピーライター
なぜPCPにハギとシノが参加することになったかというと、よりみちのnoteを読んだデザイナーが、「発信の立場から、プロジェクトに参加してくれませんか?」と声をかけてくれたのです。
2人ともアイデアを聞いた時から共感の嵐だったので、二つ返事で引き受けることにしました!
そういった経緯で、第一弾のnote記事を書いているのです。
大人が動いた!会社が動いた!
会社では初の試み。実現するかどうかは未知。
企画書を何度か練り直して、社内プレゼンの繰り返しです。
結果は・・・
会社が正式にOKを出してくれました!(パチパチ〜)
色々なハードルを乗り越えて、会社も新しい試みに協力してくれる嬉しい結果となりました。
会社に入って間もない新人の声がこうやって実現できるなんて、すごくGOODニュースですよね!
その後、4種類のデザインを無事に入稿して、封筒に印刷しました。
なんたって、初めてのSDGs
プロジェクトと言っても、大袈裟なことではないし、意識高い系の人間が集まって始めたものでもありません。
チームはもちろん、会社としても初めての社員主導のSDGsに対する取り組みです。
みんなSDGs初心者。
私自身、プロジェクトに参加するまで、「アップサイクル」という言葉も知りませんでした。
打ち合わせを重ねるごとに、自分には何ができるだろう?と少しずつ意識が変わっています。
この変化がすごく大切なんだと思います。
今後も「PAPER CYCLE PROJECT」について記事化しますので、SDGsに興味がある方、自分も何か始めたいと思っている方のお役に立てれば幸いです!
文:ハギ
@よりみちコピーライター
◆ PAPER CYCLE PROJECTの詳細はコチラ ◆
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