【伝わる言葉】知っておくべきインフォメーションとコミュニケーションの違い
突然ですが、あなたはインフォメーションとコミュニケーションの違いがわかりますか?
言葉が違うんだから当然でしょう、と思うかもしれません。でも、説明してくださいと言われるとちょっと難しい。
実はこれ、言葉を伝えるうえで最初に理解しておくべきポイントだったりします。あなたが誰かに言葉を伝えるとき、持っておいてほしいスタンスとも言えます。
今回は、伊藤公一さんが書いた『なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか。』を参考に、伝わる言葉の考え方について解説します。
インフォメーションとコミュニケーション
まず、インフォメーションとは、情報を正確に相手に伝えるためのものです。
「いつ、どこで、何時に集合してください」といった待ち合わせの内容や、マンションのゴミ出しのルールなどはインフォメーションと言えます。
ここに曖昧な情報や凝ったレトリックは必要ありません。
「燃えるゴミを出すのは、月曜日が最適!」と宣伝文句のような言葉が書かれた張り紙って見たことないですよね。混乱するだけです。端的に「月曜日:燃えるゴミ」で十分。
一方で、コミュニケーションとは、情報を伝えることで相手の気持ちを動かすことを目的としています。
先ほどの例で言えば、ゴミ出しのルールが守られていなくて、ルールを守ってくださいという張り紙を書くならば、コミュニケーションの領域。張り紙に書かれた言葉を通じて、ルールを守っていなかった人の考え方や行動を変えることが目的だからです。
まとめると、
伝わるはずという誤解
インフォメーションとコミュニケーションの違いを理解していない人のほとんどに、ある共通の"誤解"があると伊藤さんは書いています。
それは、「言いたいことを、正しく言葉にすれば、それは伝わる」という誤解です。
これはコピーライターならだれでも深く頷くであろう言葉の落とし穴。私もこの職に就いてからずっと実感していることです。
自分なりの言葉で言い換えると、「意味としては正しい(もしくは正論である)けど、伝わらない言葉」。
ルールやマナーの注意書きで考えてみるとわかりやすいかもしれません。例に挙げた、マンションのゴミ出しのルールで考えてみましょう。
たとえば、粗大ゴミをそのままゴミ捨て場に放置している人がいます。その人に対して「粗大ゴミをそのまま捨てないでください」と言って伝わるでしょうか?
もちろん意味としてはわかる。むしろ、それがいけないことだとわかっていてそのままにしているかもしれません。わかっていることを注意されても、残念ながらその人は粗大ゴミを放置し続ける可能性が高いです。
それは相手の心が動いていない(=言葉が響いていない)から。
インフォメーションは情報を正確に伝えればOK、でもコミュニケーションだとそうはいかない。インフォメーションと同じ考え方でコミュニケーションをとってしまうと、うまくいかない場合が往々にしてあるのです。
違う言い方をするなら、インフォメーションは一方的でもOKだけど、コミュニケーションは一方的ではダメです。
自分にしかわからない言葉で表現していませんか?
商品やサービスでも同じです。知ってほしい!買ってほしい!という気持ちが先行すると、一方的な宣伝になりがちです。
たとえば、「このボールペンは従来よりもスペックが10%向上しました!」と言われても、買う側からするとそのメリットがわからない。なんかよくなったのね?くらい。自分の生活に紐付けにくいです。
では、スペックが向上したから、「会議でメモをとるのがよりスムーズ」とか「長時間使っても疲れないから作業向きのペンです」と言われれば、先ほどよりも具体的にイメージできると思いませんか?
noteでも同じ。「今日お店で食べたハンバーグが美味しかった」と報告に近い感想だけを言われても、へーって感じですが、「私は日頃からいろんなお店のハンバーグを食べていて、その中でも今日のお店で食べたハンバーグは一番美味しかった」と言われると、どこのお店ですか?とハンバーグ好きは気になるかもしれない。
どちらも事実なのに、伝え方でイメージに大きな差が生まれています。
伝える相手を想像して言葉を書こう
相手の気持ちに届ける言葉をつくるには、届ける相手の存在をしっかりと意識する必要があると伊藤さんは書いています。
図で視覚化するとこんな感じ。広告の場合は、自分が「商品」で、相手が「生活者」になります。
自分と相手の円が重なる部分が、コミュニケーションのありかです。つまり、伝わる言葉はここにあるのです。そしてここを探るためには、相手の円に何があるのか?を想像する力、つまり想像力が必要になります。
ゴミ出しの例で言えば、相手が面倒だと思っている現状に、言葉でどうアプローチすればいいか考えることが解決の糸口になるかもしれない。
相手の気持ちや事情は必ずしもわかるわけではありません。企業が生活者の気持ちを手に取るように理解できれば、どんな商品でも大ヒットするでしょう。大事なのは、わからなくても想像すること。
言葉を書くというのは孤独な作業でもあり、目の前に相手はいません。届ける相手を想像しにくいからこそ、書き言葉は一方的になりがちです。
だからこそ、意識して誰かに届けるんだという心構えで、今日も言葉を書いてみましょう。そして、伝わらないときにどう考えるかが、あなたの言葉を磨く力になります。
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文:ハギ
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