「伝える」ではなく、「伝わる」をめざそう
わたしが仕事で言葉を書く時に大事にしているのは「伝える」ことではなく、「伝わる」ことです。
「伝える」と「伝わる」。
語句の顔つきはすごく似ているけど、実はまったく違うもの。
はっきり言うと、伝えることができても、相手に伝わるとは限りません。
自分中心の「伝える」と、相手中心の「伝わる」
キャッチボールを想像してみてください。
「伝える」は自分中心。相手のことをよく見ずに、自分のタイミングで一方的にボールを投げている感じです。
一方、「伝わる」は相手中心。相手の状態をしっかり見て、声をかけたり、コミュニケーションしながらボールを投げるイメージです。
「伝える」のは誰でもできるけど、「伝わる」にはちょっとした工夫が必要です。
伝わる言葉を考える
「伝わる」ためのちょっとした工夫とは、どんなものなのか。
相手に伝わる言葉を使う。これに尽きます。
それは相手のことを考えた言葉のこと。
雑貨屋とお客さんの関係で考えてみましょう。
ある雑貨屋ではセールをやることになり、たくさん買ってほしいので全商品、送料無料にしました。ホームページでお知らせを出します。
さて、次の2つのうち、伝わる言葉はどちらでしょうか? ポイントは「相手のことを考えた言葉」。この場合は、お客さんです。
A セール期間中は送料無料にするので買ってね!
B 今がチャンス!すべての商品が送料無料
正解は…
Bです!
Bのほうがお客さんのことを考えた文章になっています。なぜなら、「お客さんが知りたい情報がちゃんとある」から。
お客さんが知りたい情報って何だろう…ピンとこない…という人は、まずお客さんの気持ちになって、言葉にツッコミを入れるといいです。
ツッコミが入らない言葉は優秀
ABに、お客さんになりきってツッコミを入れてみますね。
A セール期間中は送料無料にするので買ってね!
↓
「セール期間中は」と書いてあるけど、いつ? 今? もっと先? これだけだとわからない。「買ってね!」はちょっとなれなれしい…。
B 今がチャンス!すべての商品が送料無料
↓
「今がチャンス」ってことは今お得なんだ。一部だけじゃなくて、全商品が送料無料か。ふむふむ。
どうでしょうか。一番ツッコミを入れなくていいのはBですよね。必要な情報が載っている、わかりやすい、買いたくなる、と三拍子揃っています。
こんなふうに、伝えたい相手の立場になりきって言葉にツッコミを入れていくと、相手にとって必要な情報があるかどうか見分けることができます。
「伝わる」と、相手が動いてくれる
言葉が「伝わる」と、相手が動いてくれます。
この記事を例にすると、読んでスキを押してくれたり、フォローしてくれたり、コメントをくれたりと具体的なアクションにつながった場合ですね。
また、その場で何かのアクションに結びつかなくても、読んだ人がふとした時に思い出してくれたら、その場合も「伝わった」ことになると思います。
ここまで読んでくれたみなさん、ありがとうございました。もし「伝わったよ」と思ったら…スキやフォロー、コメントで反応してもらえると励みになります。
すぐに、時にはじわじわと役に立つ。そんな記事をこれからも書いていきたいです。
文:シノ