今さら？！新聞の「投書欄」の魅力を、Z世代が語ります
みなさん、投書欄を知っていますか？
新聞の読者から寄せられた意見が載っている面、だとわかりやすいでしょうか。新聞を読んだことがあればピンとくるはず。
でも、その投書欄が、読んで考えて意見するための「思考力」を高めるのに役立つことはあまり知られていないんです。
若者の新聞離れだ〜！と回復の見込みがなさそうな長年の課題に一石を投じ…られるかはさておき、投書欄が役立つ理由を3つの魅力と合わせて説明します。
投書欄のススメ
魅力①：取り上げられるテーマが幅広い
投書はとにかく幅広いテーマで溢れているのがいいんです。新聞だからお堅い話ばかりなんでしょう…と敬遠するなかれ！
ちなみにある日の朝日新聞で見られたタイトルはこんな感じ。
「与野党に不安も 一票動かしたい」（政治、選挙）
「看護師不足 新技術で負担軽減を」（人材、技術）
「世界広げる「ブックトーク」」（本、コミュニティ）
「離島の豊かな暮らしに「島る」」（地域、生活）
「認知症予防 音楽や新聞で楽しく」（健康、暮らし）
社会への鋭い意見からほっこりエピソードまで、内容も多様です。世の中のニュースを網羅しているわけではないものの、毎日読んでいると、今どんなことが問題視されていたり人の心を動かしているのか、ざっと掴むことができます。
また、記者が公平・公正さを重視して書く記事とは違い、読者のユニークな視点や、味のある文章に触れることができます。同じテーマでも、案外投書の方が説明がやさしかったり、気持ちの乗った言葉がリアルで読み応えがあったりします。
魅力②：投稿者の身元がわかる
これはSNSとの大きな差ですね。投書欄では本人の名前／都道府県／年齢／職業を記載します。誰が見るかもわからないのに、と抵抗があるかもしれません。
しかし、実名制は責任を伴うのでいい加減な発言を防ぎ、実在する人の明瞭な主張だと読む側も判断できます。このルールこそ投書欄の信頼をつくっているんですね。
年齢や職業に注目すると、老若男女あらゆる背景の人が投稿していると気づきます。例えば、医師や教員、小学生や80代の高齢者など、個人的に話す機会がなく、SNSでの発信も少ない層の思いを知ることができるのは貴重だなと思います。
魅力③：議論が健全
これもSNSとの比較ですが、投書欄は人の意見に対し、心無いコメントがつきません。
論点がズレていたり過激な言葉で罵っているSNSのコメントは見ていてうんざりしますよね。小さなつぶやきが思いのほか多くの反応に巻き込まれたり、バズるならまだしも、指摘が批判にエスカレートし炎上…なんてことも。そのようなリスクがないのは、意見を主張する上で大事な安心要素だと思います。
投書は個人の主張に留まらず、思わぬコミュニケーションが生まれることも。
○月▲日の「□□」の投稿を読み、わたしも実体験からお話します。
このように、数日前に見たテーマでほかの読者が投稿するケースがあります。自分の話に関心を持った人から丁寧な意見や提案が返ってくる。即時的なリプライはなくとも上質な「議論」はできる、これが投書欄です。
アナログな情報発信・収集が考える力を鍛える
ターゲティングされていない情報、非匿名制、スピード感のないコミュニケーション。一見不便そうな投書欄がデジタル社会で廃れずに存在するのは、こうしたアナログな魅力が重宝されているからだと思います。
例えば、SNS上のコメントが自分の考えに無意識に影響してしまったことはありませんか？自分と世間のギャップにショックを受けたり、判断に自信がなくなって流されたり。
大量の情報が高速で流れていくSNSに対し、投書欄には一つの意見（テーマ）と自分だけが向き合える貴重性があります。デジタル漬けの生活だからこそ、アナログな媒体に立ち戻ることで、じっくり読み込んで想像を膨らませたり、落ち着いて考える力がつきます。
新聞が苦手な人こそ投書欄をススメたい
投書は、新聞社が社会情勢や時流と照らし合わせ、読者の知見を深められそうなもの、社会的な広がりのあるものをピックアップしています。
自分の興味ある話が載っているとは限らないけれど、それが新聞の面白さであり、有意義性。
わたしは投書を送ったこともあるのですが、自分の思いが誌面に載り、読者の目に触れるのはなんとも言えない嬉しさがあります。同世代の読者による、政治への建設的な意見に刺激を受けたりもします。
でも、まずは難しく考えず、世の中にはこんな話があってこんな思いの人がいるんだな〜と知る楽しさを味わってみませんか？ぜひ気楽に誌面を開いてみてくださいね。
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文：マキ
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