マティスのフォービズムの作品や切り絵の作品はもちろん知っていましたが、とても多彩な表現活動をした芸術家だったということを知った展示会でした。
画家、彫刻家、素描家、版画家としてのたゆまぬ活動の一部が紹介されており、生涯で本もたくさん執筆されていることもわかりました。
彫刻と絵画の並行
感想
マティス_自由なフォルムを学生時代の友人と観覧。会場と同時に入ったにも関わらず結構な人でした。本展示は学芸員さんの工夫が随所に感じられる構成でした。後半の切り絵&ステンドグラスを楽しみに来場したのですが、前半の彫刻、スケッチとバリエーションに心を奪われました。
マティス自身が「いつも制作は実験的で冒険だ」と述べているように、スケッチが連続して何枚も書かれるそのプロセスはまさに実験的。角度を変えたり書き方を変えたり、省略や追加がされる。彫刻では立体的な表現を、絵画では彫刻的思考でさまざまな角度で切り取って、定着させようとした試みも感じられる。立体と平面との行き来が興味深い。
彫刻では支える腕にかかった重量感や曲げられた腕から透けて見える空間が感じ取れる。反対側に回れば、真後ろが、横から見ると支持している構図が見て取れやすい。
立体にはこうした角度による理解の違いがあり、平面では理解され切り取られた風景が定着される。
定着する前の試行錯誤される思考の試行が立体では実験され、忘れ去れないうちに、スケッチで書き留められたというマティスの体験が感じ取れた。
写真の女の子が微笑ましかった。