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子どもの行動をデザインする?〜「ついやってしまう」体験のつくりかた〜

「1+1=?」

計算してくださいとは言っていません。
それでも、頭の中に答えである2を思い浮かべた方は多いのではないでしょうか。

ではこちらはどうでしょう。

大人である私たちは、28×4くらいであれば、すぐに計算できるかもしれませんが、39271÷23に関しては考えようともしないのではないでしょうか。

では、次のイラストではどうでしょうか。

思わず、鼻の中に指をいれたくなりますよね…

このように、誰に言われるでもなく「ついやってしまう」ような体験。デザインできたらいいなとは思いませんか?
今年度、小学校で2年生の担任をしている私は、子どもたちが「ついやってしまう」体験を授業づくりなどで応用できないかと思い、今回の本を読みました。

「ダメだ」と言われているのにも関わらず、やってしまう子ども。自分もそうだったなぁと思いながらも、それが積み重なるとどうしてもイライラしてしまうこと、ありますよね…
ならば、それを逆手に取っていろんなことが意図的にデザインできると、より楽しく活動できるのでは。という思いがありました。

本の中では、「どうやったら人の心を動かす体験をつくり出せるか」という深いところまで踏み込まれていますが、その中でもどんな学びが学校教育に応用できそうかという視点で、書き進められたらと思っています。

「つい」をつくり出す3つのデザイン

本書で出てくる「つい」は大きく3種類あり、それぞれがどのようにつくり出されるかについて解説されています。3つの種類は以下の通り。

1 「つい」やりたくさせてしまう
2 「つい」熱中させてしまう
3 「つい」誰かに言いたくさせてしまう

1つ目の「つい」やりたくさせてしまうは「直感のデザイン」と呼ばれ、何をすればよいか分かりやすく伝えることが重要です。

上の計算や鼻と指の例から分かるように、体験そのものをシンプルで簡単なものにすることが絶対条件となっています。

2つ目の「つい」熱中させてしまうは「驚きのデザイン」と呼ばれ、疲れや飽きを拭い去り、より長時間の体験をもたらします。

これには①前提や②日常といった、人々の思い込みを利用することが必要です。

3つ目の「つい」誰かに言いたくさせてしまうは「物語のデザイン」と呼ばれ、「何があったか」という内容的な側面と、それを「どう伝えるか」という言説的な側面があります。

強烈な物語として記憶に残るからこそ、人は誰かに語りたくなってしまうものなのです。

3つのデザインの学校での応用とは

「直感のデザイン」では、子どもたちが何をすべきか見ただけで分かる状態が一番望ましいと考えます。

もちろん活動には丁寧なインストラクションが必要ですが、特に低学年の子どもたちにおいて「ぱっと見、やりたいと思えるか」ってとても大事だと感じています。授業においても、インパクトのある導入をしたり、具体物を用いたりすることがこれに当てはまると思いました。

「驚きのデザイン」では、子どもたちの疲れや飽きをどのように拭い去るかが重要です。現代におけるコンテンツはYouTube、TikTokを始め、短時間のものが多いように思います。そうした魅力的なコンテンツと比べると自分の話を45分聞かせるなんて、ほぼ無理なことなんですよね。

①授業は座って受けるものという前提への思い込みを利用して、立ち歩く活動を定期的に入れたり、②教室で授業をするという日常への思い込みを利用して、教室外へ繰り出す活動を入れたりすることで飽きずに活動できるなんてことは、皆さんも経験としてもっているかと思います。こういった例を応用しながら活動をデザインする必要がありそうです。

「物語のデザイン」で重要だと感じたのはテンポとコントラスト。この二つは一連の体験を波のように心地よく揺らし、時間を忘れさせます。

テンポの良い授業とよく言われますが、意外と難しいもの。この活動が○分くらいで…と時間だけを意識して授業づくりをしてきたように思いますが、子どもたちの感情の動きを捉えながら、そのテンポとコントラストを意識する方が良さそうな気がしてきました。

特に自分は話にメリハリをつけたり、山場やオチを意識して話をしたりするのが苦手な方だと思っているのでなおさら。(最近はユーモアさを手に入れようと必死なので、思考がおじさんになってきたのかもしれません…笑)

このように、3つのデザインについて、少しの意識で変えられることがたくさんあると感じました。

体験は記憶の現在形

最後に、本の中で印象的だった一節を紹介します。

ある体験で感情が動いたら、記憶に残る…
「体験→感情→記憶」という流れが、常に私たちの人生を突き動かしています。
この流れを逆にたどると、こうも言えます。
あなたが今記憶していることは、あなたの感情を強く揺り動かした体験だったはずだ、と。

確かに、昔のことで覚えているものって強烈な体験が多いですよね。
学校の普段の授業なんてほとんど覚えていないけれど、印象的だったどうでもいい先生の話(いい意味で)は記憶に残り続けています

今のクラスにおいて、子どもたちが10年後、20年後に記憶として残っている風景はどんなものでしょうか。
きっと、力を入れた授業の内容なんかではなく、教員にとっては単なる日常での一コマ、ちょっとした小話なのではないでしょうか。

しかし、今回学んだことを突き詰めていけば、子どもたちの記憶に残る強烈な体験を意図的にデザインできるのかもしれない。そう思わせてくれる内容でした。
そうすれば「先生がいつもすべっていたのが面白かったです。」なんて、卒業間際の6年生から言われることはなくなるはずです。(これは実話。そう言ってくれるだけの関係性だったことにしておきましょう…笑)

さて、月曜日から夏休みが明け、子どもたちが登校してきます。2年生担任として、子どもたちに「〜させる」ではなく、子どもたちが「ついやってしまう」体験を意図的につくっていけたらと思っています。


「夏休み中に読書感想記事を3本書く」という宿題、なんとか夏休み終了2日前に完了させることができました。(最終日じゃなくて偉いぞ自分。笑)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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