おしゃれ野菜を育てるの巻~芽生えから日本の心を知る~
育て始めたおしゃれ野菜の近況報告を、情けない失敗談とともにお送りしよう。また、そこで予期せぬ「謙虚」という心に気づかされため、あなたの心の隅にも留めておいてもらえたら幸いだ。
ハウスの倒壊
4月13日の朝。
ガレージに愛おしいわが子の様子を見に行ったところ、
目の前に悲しい光景が広がっていた。
ハウスが・・・倒れている。
急いでハウスに駆け寄り苗を確認すると、半分以上のわが子が外に放り出され、生き残った種も剥きだしになっている。
種一粒50円くらいということで、ざっと2,500円分が流れ出た。
どうやらハウスの抑えがあまく、前日の夜に強風が吹いたためこの惨事に。
「ためいきが出ちゃうああー」と、ザ・ピーナッツの『恋のバカンス』が頭を支配する。
何事も育てるということは簡単でないと自分を落ち着かせながら、
ハウスをきれいにして、生き残ったものは修復し、
気分転換に新しいプレートで別の種を植えることにした。
この日は、ビーツと中長ナスを1プレートずつ追加し、
もう同じ過ちを犯さないようにと、ハウスの四方を重石で囲んだ。
トトロの動きを真似る
5日間で発芽しないと、その苗は失敗と言われている。
水をやり続けて5日後。
ドキドキしながらハウスの中をのぞくと、
ビーツのプレートにビビットピンクの芽がぴょこっと出ていた。
植物を育てたのは小学校1年生のアサガオ以来であったが、
こんなにも生き物の成長が愛おしいとは思いもしなかった。
「となりのトトロ」で、夜中にトトロと一緒にサツキとメイが庭の植物を芽生えさせるワンシーンがある。
下から上に手をグイっと伸ばすことで芽がぴょこぴょこと出てくるのだが、
いまの私はこの動きを真似て、この子らの成長を祈らずにはいられなかった。
家庭菜園で日本の心を知る
続いて初日に植えたプレートを見ると、
土色一色でまた悲しさがあふれ出しそうになったところ、
端の方で緑色の芽を発見した。紫スナップエンドウが萌芽している。
(「紫」の漢字が間違っていて恥ずかしい)
あのハウス倒壊事件の被害を受けたプレートであったために、
この1つの芽に救われるような思いがした。
ここでふと最近読んだ本を思い出した。
古来の日本人は、樫の木などの実や根をすりつぶし、水にさらしてデンプンをとり出し生活していたため、自然の恵みに感謝し、そこに神を感じていた。
これがもともとの「神道」の自然崇拝の心であったそうだが、
森の中に住み、植物を育て始めた私もいま、この心に共感できる。
続いて、心に響いた一文がこちら。
人間はさまざまなもの(神)に守られていると思い、謙虚な気持ちで生きることができる。
確かに私に当てはめてみると、
自分が育てた植物は、自分が世話をしてあげたおかげではなく、
土に神が宿っているから芽を出したのだ思うと、自分に謙虚なれる。
これは、東京・品川の家ではスルーしていたフレーズかもしれないが、
仕事やプライベート、あらゆる場面で通ずる考えではないかと思った。
私は、そしてあなたは「謙虚な心」を忘れないで、毎日生活できているだろうか。
田舎生活で一つ学びを得た一日であった。