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「ん」からはじまるオノマトペ
「2月ってこんなに寒かったっけ?」
と毎年思ってしまう将一郎です。
気になって去年の気温を調べてみると、最高気温8.3℃でほぼ同じ。今年が特別寒いってわけでもなさそう。。
ホットコーヒーすすりながら書いていきます!
今週から「オノマトペ探究」本格スタートです。
最初の文字は……「ん」
あえての「ん」からやってみよう!と、日本語NETで確認してみると…「ん」からはじまるオノマトペはヒットしませんでした。
ん?もう終了?
いやいやさすがに終われないので、もう少し範囲を広げて調べてみます。
「ん」は単独で音をつくる唯一の子音
ひらがなには「あ・い・う・え・お」から始まり「わ・を・ん」で終わる、基本的に「母音(あいうえお)」を中心とする音節体系があります。
しかし「ん」だけは他と違い、単独で“子音”としての機能をもちながら音をつくれる特殊な存在。たとえば、「か(ka)」「き(ki)」「く(ku)」のように、子音+母音のセットで構成されているのがほとんどですが、「ん(n)」は母音を伴いません。
後ろに続く言葉を作りにくいのも特徴のひとつ。しりとりで「ん」が付くと負けになっちゃうのはみなさんご存知のこと。
でも意外と「ん」からはじまる言葉を目にしています。
先ほども「ん?」を自然と使っていましたが、疑問に思ったときは「え?」よりも軽やかに「ん?」で応じることが増えているといわれ、新たな相槌として定着しつつあります。
漫画表現「ンモ~」「ンガァ」「ンフフフ」
漫画などの表現ではよく目にしますね。
牛の鳴き声を「ンモ~」と描いたり、怪物の威嚇音を「ンガァ」と表したり。
「ん」は鼻音とも呼ばれ、こもった響きを出すのに適しています。そのため、キャラクターの無邪気さと危険さを同時に表現するのにもちょうどよいとのこと。
有名なところでは『ドラゴンボール』の魔人ブウが「ンフフフ」という独特の笑い声を発します。『ONE PIECE』のブルックが「ンヨホホホ」と笑うのも、そうですね。
海外オノマトペ「ンブトゥ」
さらに海外にも目を向けてみると、おもしろいことが分かりました!
「ンブトゥ」
これは何の音だと思いますか?
・
・
正解は「重いものが落ちた音」だそうです。
…ん?
日本語なら「ドン」とか「ドガッ」で表現される音のこと。
それをインドネシアのカンベラ語では「ンブトゥ」と表すそうです。
いまいち共感できないですよね?
これは言語や文化によって「それっぽい」と感じる音の捉え方が違うためだと言われています。
オノマトペは万国共通ではなく、その言語でしか通用しないものなのです。
たとえば犬の鳴き声は日本ではワンワンだが、英語ではbow bow。猫は比較的似ていますが、英語ではmyaw myaw。豚に至っては日本ではブーブーだが、英語ではoink oinkです。
こんなふうに同じ鳴き声でも各言語で違って聞こえるのは、オノマトペが「実際の音や様子」をそのまま再現しているのではなく、「その言語を話す人たちの感覚イメージを写し取ったもの」だからです。
たとえるなら、絵画や音楽を鑑賞するとき、私たちは必ずしも“作者や演奏者の内面"をそっくり受け取るわけではありません。それぞれが自分なりの主観を通して色や音を感じ取り、頭の中でイメージを再構築している。
オノマトペも同じで、インドネシアの人々が「こう聞こえる」「こんな感じ」を表現した言葉が、必ずしも日本人の感覚と合うとは限りません。
他にも、「ゲンゲレンゲ」は中央アフリカのバヤ語でやせこけた人の様子。
「ニェディ」は南アフリカのツワナ語で物体がきらめく様子。
だそうです。(全然わからん!笑)
反対に、海外の方が日本のオノマトペに苦戦するのも、同じ理由なのでしょう。日本語には多彩なオノマトペが存在し、犬の鳴き声ひとつとっても「わんわん」「わおん」「ワウ」など、微妙にバリエーションがあったりします。これは日本人の感覚や文化の豊富さに関係しているでしょうか。
引き続き「ん?」と自問しながら、オノマトペ探究をしていきたいと思います。(ンフフフ)
▼参考文献