アイデアは閃くんじゃなくて、試行錯誤の果に行き当たるのだ
「どうやってアイデアをだしてるんですか?」「どうやって閃いたんですか?」
インタビューでちょくちょく聞かれる質問だ。
これが、答えにくい。
閃いてるんじゃなくて、あれこれ試行錯誤して行き当たるのだ。
だが、あれこれ試行錯誤してたどり着いた話は、ややこしくて、複層的で、答えてもウケが悪い。
目の前の相手が、「そんなこと聞きたいんじゃないんだよなー」って顔になるのも忍びないので、試行錯誤の果ての行き当たった瞬間をアレンジして面白いエピソードにショートカットして話したりする。
今回のゲームマーケットに出す新作(絶賛、取置予約受付中)の『走れメロスたち』も試行錯誤の果てなのだが、まあ、それよりも太宰治の「走れメロス」が大好きで、どこが好きかというと~みたいなエピソードにしたほうがウケがいい。
『国家予算人狼』も、ゲームシステムがうんぬんより、「国家予算って何兆円もの金が動くのでそれを体験したいと思って!」というストレートな動機のほうがアピールする(どちらも嘘じゃなく本当のきっかけなのだが、それだけじゃ、ないのだ)。
リンゴは落ちても
だから、リンゴが木から落ちて万有引力を発見したとか、お風呂に入ってエウレカ!って大発見したっていうエピソードは、真に受けてはいけない。リンゴを凝視したり、お風呂に入り続けたりしてもアイデアは出ない。
いや、リンゴやお風呂なら真似しないだろうけど、それと似たような勘違いをして、変なことをしがちだ。
4コマ漫画の4コマ目だけを読んでも面白くない。そのまえの3コマがあってこそ、だ。閃いた瞬間だけを真似するんじゃなくて、その前の試行錯誤を引き受ける覚悟を。
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