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【詩】重たく湿った夏の夜、思い出すのはあの日の家出

冬の冷気 吐く息は白く
水道の蛇口 小さな氷柱が鋭く尖る

沈黙の公園 冷たく錆びたブランコの鎖
家々の窓 かたく閉ざされ光は漏れず

夜明けは遠く 鳴く鳥はいない

靴底の下 踏んだ地面は薄く凍り
自販機の灯り 売切れの赤ランプがずらりと並ぶ

こごえる両手の あかぎれが痛み
ほぅとふきかけた息の 途切れるに合せて咳き込んだ

家出の行先き あてはなく
思うがままに ただ歩を進める
誰とも行き合わない道行 孤独を噛み締めるころ

排気ガスの匂い それさえ温かく
暗闇をひとり歩くわたしは ひとりでないことを知る








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