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【詩】過ぎた感覚

ひとり、という名の無菌室に慣れたわたしの
目、鼻、耳、記憶の欠片が恋しがる
だれか、のいる場所に行きたくて開いた瞼に
白光、耳を澄まし、繋ぐ手を伸ばせと脳が命じる

真っ白な、部屋に帰りましょうと急かす鼓動の
跳ねた痛み、繋ぎ損ねた手はだれか、の代わりに空を掴んだ

行きはよいよい
帰りはこちら

くぐるCTにかかった刹那にまたたく天の川

玄関を出てすぐ乗り込んだエレベーターの
芳香剤、季節外れの花の香がむしり取り
置き忘れられた、鼻

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