見出し画像

【詩】ここにだけ在る

隣にいても同じ景色はもう見えない
それでもこびりつく未練が目を凝らさせた
惹かれ合いすれ違うドラマの中の恋人たちに重ねた過去がバラけてく
嵌まらないピースばかりが溢れて散らばる枠のなか、四隅に沈む名残が体のどこかと繋がり引き攣れた
最初に忘れるのは声だというけど鼓膜に沁みた囁きは生き続け
寄り添った体温が消え去ろうとも擦れた粘膜の熱さはさめやらない
私の体という枠の中でだけ存在するパズルを果たしてあなたも持っているのかが気になった
小さな欠片ひとつ分くらいなら残りたいけど残りたくない
私だけにあってあなたにはない
それはもう特別と変わらないから持っていなければいいと思う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?