ジェームズ曰く
「私たちは泣くことで悲しい気持ちになり、殴ることで怒りを感じ、体が震えることで恐怖を感じるのであって、悲しい、腹が立つ、あるいは恐ろしいがゆえに泣いたり殴ったり震えるのではない」
アメリカの心理学者・哲学者ウィリアム・ジェームズの言葉。
「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」の方が有名なようですが、私が本で出くわしたのは冒頭の文章なのでこちらをご紹介。私はこの言葉を哲学講座の課題の自由意志のエッセイで引用しました。私は人の感情や意識というのは外界からの刺激に対して脳が反応した時に付随的に生じる現象であるという考え方が真実なんじゃないかなぁと思っています。自分が意志によって行動したという認識は後から脳が作る錯覚だという説です。つまり、私は自由意志否定派です。ジェームズはと言うと上のような考えを持ちつつも「自由意志は存在する」派だったそうです。バートランド・ラッセルの『西洋哲学史』によると、ジェームズはプロテスタント的な信仰の価値を認めていて、且つ、実用主義者だったとあるので、自由意志を否定してしまうと「では誰が行動の責任を負うの?」という厄介な問題が出てくるし、魂的なものの存在を否定するようなことを主張しても誰も幸せにならないし、という現実的な理由からそういう立場を取ったんじゃないの?…なんて、ちょびっと思っています。
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