「クッキーめしあがれ」 木村研

「クッキー、おいしくやけたから、おばあちゃんに届けてくれない」
 おかあさんにお願いされて、りさちゃんは、おばあちゃんのうちまでおつかいに行くことになりました。
「らら、らん」
 スキップしながら原っぱを横切ると、おばあちゃんのうちが見えてきました。
「おばあちゃーん」
りさちゃんが、バスケットをふってかけだしたときに、草に足をとられてころんでしまいました。
「あっ」
バスケットの口が開いて、クッキーがこなごなにくだけてしまいました。
「う、うわーーん」
 りさちゃんの大泣きがはじまりました。
 涙が、あとからあとからあふれて、たちまち涙の海ができました。
 すると、
「た、たすけてー」
 だれかが、涙の海でおぼれています。
 アリさんです。
「たいへんだ。助けなくちゃ」
 リサちゃんは、大急ぎで桜の葉っぱの船に乗って、涙の海にこぎだしていきました。
 海は、大波小波です。
 りさちゃんの乗った船は、大きな波をうけて、ひっくりかえってしまいました。
 ブクブク、ブクブク。
 リサちゃんは、海に沈んでいきました。でも、原っぱが、涙をみんな吸いこんでくれたから、海はなくなって、りさちゃんもアリさんもたすかりました。
 だから、りさちゃんは、こなごなになったクッキーをアリさんにごちそうして、おばあちゃんには、花をつんでいくことにしました。

(作者のことば)
子どもたちは、おつかいなどをやりとおすと、いろんな力をつけます。子どもたちが学校や幼稚園に行けない時に、いろんなお手伝いをしてもらうといいですね。

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