飯テロは癒しとなりうるか【死にたい夜に効く話.37冊目】『めぐりあいサンドイッチ』谷瑞恵著
体調が悪くなると何かにすがりたくなる。わたしの場合は本にすがりがちだ。特に今年、そのポジションは谷瑞恵さんの『めぐりあいサンドイッチ』から始まる、サンドイッチシリーズだった。
体調不良でヨロヨロになりながら、シリーズ第二弾の『語り合いサンドイッチ』を片手に布団にもぐったのはいい(?)思い出。
今日はわたしの常備薬と化した、サンドイッチシリーズについて書いてみる。
あらすじ
公園前にある手作りサンドイッチ専門店「ピクニック・バスケット」。主人公の蕗子は姉の笹子と一緒に経営している。お店にやってくるのは、ちょっと個性的なお客さんたちと食べ物をめぐるちょっと不思議な出来事。食べ物をめぐって人との関係を優しく繋ぎ、最後にはほっこりできる物語だ。
癒しポイント
どうしてこのシリーズに自分は癒されるんだろう。考えてみることにした。
サンドイッチがおいしそう
とにかく出てくるサンドイッチがどれもおいしそう。すごい凝った説明というわけではないけれど、シンプルな文章でありありとイメージができる。見た目の説明もなんだか可愛らしい。自分は特にたまごサンドが無性に食べたくなってコンビニに走り出したくなる。サンドイッチ屋さんが近所にないのが残念でならない。
サンドイッチを届ける姉妹の魅力
店主であり料理人の笹ちゃんは自分のためにサンドイッチをつくってるわけじゃない。いつもそれは「誰かのためのサンドイッチ」なのだ。だから、お客さんが求めるサンドイッチをつくろうと頭を悩ませるし、蕗ちゃんも一人一人のお客さんと真摯に向き合おうとする。そんな姉妹の姿にほのぼのとさせられて、彼女たちがどんどん好きになっていく。
サンドイッチが人を結ぶ
物語には、ある特定の食べ物に対して、さまざまな思い出を持っている人たちが出てくる。それはいい思い出もあれば、嫌な思い出もある。登場人物たちは、「ピクニック・バスケット」のサンドイッチを通して、自分自身の思い出と向き合ったり、問題を解決したり、誰かとの新しい繋がりを作ったりする。そんな、食と人とが関わっていく過程がすごくいいのだ。
弱っている時に効く温かさ
考えてみれば、癒されポイントはいくつも出てくる。
単純に食べ物をつくって売る話、というわけではなくて、そこに人の温かみだとか繋がりだとかを感じられるのが、自分としてはグッとくるところなのかもしれない。「おいしそう」だけでは片付けられない満足感を得られるから。
だから体調が悪くて弱ってたりしているときには、こうした物語がじわじわと効いてくるような気がする。色んな意味で栄養を無意識に求めているのかも。
こうやってnoteを書いていたら、サンドイッチと熱いブラックコーヒーが欲しくてたまらなくなってきた。ちょっとコンビニ走ってきますわ。