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人生の午後。ー『たびする木馬』ー<7>
少年だった老人との半世紀ほどの時間を超えた再会で、ブランは老人に引き取られることになりました。もう背中に誰かを載せて走ることはありませんし、一緒に旅をした仲間とも離れ離れになりましたが、ブランにとっては居心地の良い穏やかな日々なのでした。雨風にさらされる日々は終わったのです。
まさに人生の午後のような一枚。
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この老人の自宅と思われる居場所、置かれているものはかなり豪華な調度品なのだと思われます。ただ老人のほか家族の姿はなく、広々とした屋敷にひとり。成功をおさめた老人の人生にもさまざまな経緯があったのかもしれません。少年時代の姿のままをとどめるブランを見つめながら、老人は何を思うのでしょう。
さて、牡丹靖佳さんの絵本作品には必ずと言ってよいほどある小さなモチーフが登場します。それは「たまのりひめ」という福音館書店のこどものとも年少版にて発行された作品の摩訶不思議なキャラクターの「たまのりひめ」です。
この場面にも「たまのりひめ」が登場しているのですが、どこかわかりますでしょうか。
遊び心も備えた『たびする木馬』の場面のご紹介もあとわずか。9/3にて原画展は終了となります。最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
*牡丹靖佳さん直筆サイン入り絵本も販売中です
https://yomogibooks.com/items/64cde1de59c112007d9a379b
牡丹靖佳『たびする木馬』(アリス館)絵本原画展
|会期| 2023年8月18日(金)-9月3日(日)
*会期中、8月22日(火)・25日(金)・29日(火)はおやすみ