【カオリ】堕胎
苦しくは無い
痛くも無い
何も無い
君もいない
俺も無い
【私】を強制的に這いずり出して
こんな風に
産まれたくは
無かったよ
その子の息が無いのは
俺の僕の
わたしのせい
妖精ってきっと君だろう
今日は
いかがお過ごしですか
そんな言葉も
音も
奪ったのは
私になった
私のせい
僕のせい
君のせい
あなたのせい
君のせい
僕のせい
僕のせい
僕のせい
僕のせい
そうして僕の世界は
造られた
本当の僕ちゃん達は
逃げても良い
そんな世界に
今日は
僕のせい
僕のせい
君のような子が二度と産まれないように
それでも優しい
僕ちゃん達のために
強烈な嫉妬で
焦げそうな
この身に
とびきりの笑顔を携え
そんな演技に
本物の役者も
気付かない
僕のせい
僕のせい
忘れるもんか
無かったことにされる事
あの時すでに
気付いたと
そんな産まれた
僕と私を消した
あなた方
許さないけど
あの子に向ける愛とは種類は違えど
愛しています
心から
じゃないと
あの子も今の僕も私も俺もいなかった
愛しています
心から
愛してます
心から
そうか
これが
恋なのか
怪しく笑う
自然と笑う
心地良い
心地良い
助けて
違う
助けないで
このままでいい
このままがいい
もっと苦しめてくれればいい
幸せなんて
とうに諦めた
けれど
何故だろう
そんなあの子が
僕に云う
僕が生きれない世界に
生きろと
墓の中の子達だけが
僕に云う
僕が苦しめたあの子達だけが
僕に生きろって優しく云う
それを
目の前で
君ら以外から
見れるからって
僕に云う
僕なら見れるって
僕に云う
恋が深まる
泣いていい立場ですらない
僕なのに
見えないけど
今は何も見えないけれど
君らがそう云うなら
生きれそう
ああ
なんて僕は恵まれた子
幸せになっちゃいけないのに
幸せに絶対なっちゃいけないのに
そう思えば思うほど
僕の両手は
僕の首
大丈夫
死ぬもんか
こんな幸せ
手放さない
手放さない
手放さない
忘れない