もし、あのとき。
ちょっとだけ、昔のことを。
好きなひとができた。彼はユーモアがあり、いろいろなことを考えているひとだった。とても賢くて、鋭くて、私とは違う思考回路で生きている人だと思った。背もとても高くて、彼の背丈になってみたらどんな世界が見えるんだろうとちょっと憧れてもいた。
知り合ったのは、友達に呼ばれたホームパーティ。そのあとインスタでフォロリクが来て、おしゃべりを始めた。ご飯に行ったり、ちょっとお出かけしてみたり、カフェでいろんな議論をしたり、とても楽しい時間だった。ちょっと遅れた青春だったと思う。
そのあと色々あって付き合って、色々あって色々なことが重なってすぐに別れてしまった。痛みを伴う別れだったけれど、なんとなく今も彼が私の心のどこかにいて、なんとなく支えになっているような気がする。
もうすぐ、私は結婚する。彼も風の便りで結婚したと聞いた。時折、彼と結婚することになっていたらどういう物語があのあとあったんだろうと考える。
もし、あのとき。
そのストーリーラインが存在するのならば、私はどうしたのだろうか。彼は受け止めただろうか。
結婚はいちばん好きな人とはできないって本当なのかもしれない。
今の私はとても幸せで、未来の夫も世界でいちばん私らしさを出せる人だ。
それでも、彼と夫は全く違う道に立っている。
不適切かもしれないが、いつかまたどこかで会える日まで、あるいは、答えのない問いに解が出せるその時まで、お互いの幸せを祈ることとしたい。いつか私と彼の糸がまた交わる日が来ることを願って。