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かっこいい女の話 〜朝井まかて『グッドバイ』〜
やすこさんへ
この間の『ゆけ、おりょう』の話、面白かった!
幕末に限らず歴史って実は苦手で、歴史小説も今までほとんど読んだことがなかったけど、漫画から入っていくのはいい方法だね。
私も食わず嫌いせずに少しずつ知識の幅を広げていきたいわ。
お手紙を読んで思い出した本があるんだけど、やすこさんは大浦慶って知ってるかな?イギリスとの日本茶貿易で大成功して財を成して、長崎の女傑と言われた人物。坂本龍馬たち幕末の志士を支援したとも言われていて、大河ドラマ『龍馬伝』では余貴美子さんが演じていたらしいです(観てないけど)。
私がこの人物を知るきっかけになったのは漫画『ニュクスの角灯』で、これもすっごく面白い本なんだけど、
これを読んで大浦慶さんに興味を持ったので、朝井まかてさんの『グッドバイ』も読んでみたのよ。
蘭船がくるぞー!となったら走って見に行ったり、家業の油商を継ぐため婿を取っても「こいつ、ダメ男の匂いがするわ~」という勘だけで、すぐに離縁しちゃったり、家業がじり貧と見るや、保守的な番頭に眉を顰められながらもどんどん新しいことを試したり。自由で率直で豪胆な主人公、大浦希以(慶)がすごくかっこいいの。
「才覚さえあれば、外国とも自由に渡り合える」そんな祖父の言葉を胸に、ヲルトやグラバーなどの外国人とも堂々と渡り合って信頼を得る。自分の才覚と商人としての信念をもって、信じる道をまっすぐ歩いた人。成功も失敗も裏切りも、すべて自分自身で責任を取って引き受けた人。
幕末から明治と言えば、女性の権利なんて無いも同然の時代というイメージがあるんだけど、この時代にこんなに大胆に、逞しく世界と渡りあっていた女性がいたのか!と感動しました。
時代の転換期に逞しく生き抜いた女性の一代記。これ、朝ドラになればいいのに!
しかしあれだね、おりょうさんと言いお慶さんと言い、所謂「女性らしくない」女性は、私たちから見るととても魅力的に思えるよね。
時代のせいにしない、女だからを隠れ蓑や言い訳にしない、周囲の目を気にしない、空気なんか読まない、自分の人生に自分で責任を取る覚悟がある。
そういう人ってやっぱり、かっこいいんだよなあ。自身もかくありたいね。
それでは、また。
2023年11月24日
かおりより