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おなかがすく話

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#エッセイ

桜の森の満開の下で

桜の森の満開の下で



舞台を満開にする、幾万もの桜の木を、
今年に入って2度も目にすることになるとは
思ってもいなかった。

幸せと不幸せは紙一重みたいなもので、
ああ言えばこう言う、くらいのもので、
生きることと死んでいることも
そんなに大差がないんじゃないかと思っていた。

でも、確実に、死は存在する。
その魂を想い、恋し、悔しみ、
もうひとまわり、強くなる。
その強さは、涙がでるほどに愛しいものだ。

父の魂

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永い、永い言い訳

永い、永い言い訳



なんだかどうしようもなく苦しくて、何度も何度も顔を覆い隠して、深いため息をついた。どうしてそんなこと言うの、どうしてそんなことするの。そんなことの連続で、愛しきれない主人公と自分が、いつの間にか重なっていることに気がついてしまったりして、また深いため息をついた。

私の3メートル上くらいから見下ろすカメラのようなものがあって、他人ではないほどよく客観的な私が、あーだこーだ言ってくれたら、もっと

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恋のはじまり

恋のはじまり

理由をたくさん並べるよりも、「逢いたい」のひと言がいちばん伝わることもある。どうして逢いたいのか、いつ、なぜ。

そんな言い訳みたいな言葉はただの文脈を整えるための飾りで、そこに本心があるのかというと、また別問題なのだ。

たったひと言を伝えられる、勇気。

言葉は自己満足であってはいけない。

相手を幸せにするものでありたい。

紡ぐひとつひとつの言葉が真心であり、本能であり、

喜びや面白さ、

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普遍的なこと

普遍的なこと



非常に普遍的なものが世の中には存在していて、誰かが誰かを気にしている、という人間同士の循環は、それはそれはロマンチックな世界をうむ。大きな道路に何台もの車が通って、決して鳥の声など聞こえなくて、そんな飽きれるほど冷たい世界でも、それでも人同士が生きる世界の中では、今日も誰かが誰かを気にしている。

普遍的な食べものが好きだ。それはあたたかく、いつ食べてもいつ行っても、ある、という絶対的なもの。

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