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『夏の領域』 佐藤モニカ

留学生にすすめたい短歌シリーズ

13冊目は、佐藤モニカ『夏の領域』(本阿弥書店)

一つ残しボタンをはづすポロシャツは夏の領域増やしゐるなり

佐藤モニカ『夏の領域』

歌集の名前にもなっている「夏の領域」という表現が秀逸です。



寂しくて背中を撫でてほしきとき少しづつ人に背を向けはじむ

「背を向ける」というのが二重の意味になっているようで、おもしろいです。



看護師はきれいな腕をしてゐると褒めたる後に注射針さす

看護師さんのユーモアでしょうか(笑)
あと、とらえどころのない話し方をする医者っていますよね。


素つぴんに眼鏡をかけて一昨日と異なる顔でコンビニへ行く

コンビニって、寝巻きでも行けたりしますからね。
ストレートな歌で、いいです。



食べ物や料理に関する歌にいいのが多かったので、続けて紹介します。

サラダ菜を食みゐるわれにましろなるウサギの耳の直立したり

菜箸をさし入れ左右にほぐしたし本日の雲かたまりやすく

モッツァレラチーズのばして今われは大事な言葉を聞き逃したり

ポケットを叩けばビスケットあらはるるジャケット欲しき残業の夜

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