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『えーえんとくちから』 笹井宏之

留学生にすすめたい短歌シリーズ

15冊目は、笹井宏之『えーえんとくちから』(ちくま文庫)

ゆっくりと上がっていってかまいません くれない色をして待っています

笹井宏之『えーえんとくちから』

なんだかよくわかりませんが、なんだかおもしろいです。
どういう発想でこんな歌ができるのでしょうか。


清いものになりたいといういっしんでピアニカを吹き野菜を食べる

こちらはなんとなくわかります。
最後の「野菜を食べる」の7音がいいですね。



かまきりに祈られているおばさんを優しくよけて公園に着く

マレーシアバクの夫婦を木陰からひっぱりだして夢を与える

生き物が出てくると、たいていおもしろいです。



美しい名前のひとがゆっくりと砲丸投げの姿勢にはいる

「名前」が使われているところが、絶妙ですね。
凡人は「美しい」を「姿勢」の修飾語として使いたくなりそうですが。



こころにも手や足がありねむるまえしずかに屈伸運動をする

風であることをやめたら自転車で自転車が止まれば私です

それは世界中のデッキチェアがたたまれてしまうほどのあかるさでした

意外性があり、動きがあり、反芻してしまう3首です。



ひとりでに給水塔があるきだし品川までの切符を買った

これも楽しくていいです。





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