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『紫のひと』 松村正直
留学生にすすめたい短歌シリーズ
5冊目は、松村正直『紫のひと』(短歌研究社)
改札の手前で急に向きを変え戻るこどもが私にあたる
後ろ向きに手摺にすがり一歩ずつ駅階段を降りてくる人
こういう光景、確かにあります。言葉の並びがうつくしく感じるのはなぜでしょうか。淡々とした描写の妙でしょうか。
今きみがほんとにきれい感情を失くしたような横顔をして
映画でも、その俳優に見惚れるのは、むしろ感情を失くしたような顔をのぞきみたときかもしれません。
いいなって思わないのにいいねって言わなくていいよ二人のときは
「いいな」と「いいね」の違いを考えるのにもいいね。
山道をたどり進めば行き違うひとの気配が徐々に濃くなる
やわらかに畑を包み込む雪が葱のみどりを鮮やかにする
詩情が濃く、鮮やかです。
垂れ幕を見せて作業に取り掛かる「放置自転車撤去作業車」
「放置自転車撤去作業車」が口に楽しい。
困ってることがあったら言ってよね困っていても困るのだけど
これは私がいつも留学生に対して思っていることです。