シェア
寒気を連れて 咲こうとする花をいじめ 靄をかけて 柳の枝をぐったりさせる 千里の雨は 過…
城の西の柳が 柔らかな春を揶揄うように ゆらゆらと揺れる そのさまに 別れの悲しみが思い…
岩礁には 雲が立ち込め 波には 月影がきらめくときに 人魚は夜 黒龍の鉛水を求め 龍宮へ…
閉ざされた花園へ 夢のうちに訪れました 夕陽は物言わず 燕は悲しげに飛び去ってゆきます …
風音 雨音と共に 清明節を迎えながら 庭に散る花びらを 葬る銘文を刻んだ 高台の前 あ…
若い頃は 愁いなど知らぬくせして 好んで高台に登った 好んで高台に登っては 一丁前に詞を…
夕陽は 溶かした金の眩しさ 夕雲は 壁の輪の輝き あの人は 何処へ 柳を染める靄は いよいよ濃く 梅歌の笛の音には 怨みがこもる 春の情緒は 如何ばかり 元宵の佳き日 穏やかな晴れを迎える けれどもすぐに 嵐がやっては来まいか 立派な車馬が 迎えに来ても 宴会はもう お断りです 中洲の地が賑わっていたころは 閨ぐらしにも ゆとりがあり この元宵では 大いにはしゃいだ カワセミの羽の帽子や 金糸の髪飾りなど 粧し込んでは オシャレを競った 今や
追いかけて 追いもとめても さむざむ ひえびえとして つらくて 悲しくて やりきれません…
[散り落ちた薔薇] いまや単衣の 新酒の味を試る季節 わたしは旅の身 いたずらに時を過ご…
[柳のうた] まっすぐな柳の蔭 薄もやのなか 碧の細い枝がゆらゆらと 隋堤のほとりで い…
柳の薄暗がりに鴉が鳴いている 単衣一つで佇む 小さな簾をあげた朱塗りの戸口 半畝ばかり咲…
ここは章台通り 梅の梢には もう色褪せた花 桃の樹には いま咲きそめた花 路地はひっそり…
[章質夫の「楊花(=柳絮、柳の綿)」の詞に次韻する] 君は花のようで また花ではないよう…
[赤壁にて古をしのぶ] 長江は東へ滔々と流れゆく その波は いにしえの英傑たちをすっかり濯ぎ去っていった 古城の石垣の西のあたり そこがかの周瑜ゆかりの赤壁だと人は言う ふぞろいな岩は空へ突き出し さかまく波は岸へ激しく打ちつけ 雪のごとき飛沫を巻き起こす 一幅の絵のような山と江 ここへかつて 多くの豪傑たちがいた 周瑜はそのとき 小喬を娶ったばかり その姿は勇ましく 才気に満ち溢れていた 手には羽のうちわ 頭には綸巾をかぶり 涼しげに談笑する間に