勝手にチャレンジ1000 0074 息子の草刈り

どういう風の吹きまわしか、隣県に住む息子が、帰って庭の草刈りをするという。
雑草の庭を愛でる彼ではあるが、前回見たときに、自分がいた頃よりずいぶん空き地化が進んでひどいありさまだと気になっていた、という。
今年は植木屋さんを頼みそびれて夏を越したのもあるのよー、と、モゴモゴ言い訳をしたが、まあ、確かに、ひどいといえばひどい、かも。

県を跨いでの移動は自粛を、というご時世ではあるが、彼も私たちもワクチン2回接種済みだし、なかなかゆっくり会うということもなかったので、お願いすることにした。すると、朝からやりたいから今夜泊まっていい?と。隣県と言っても隣接する市なので、まあ、ものの1時間くらいで着くかな?と思ったら、連絡が来てから20分くらいでただいま、とやってきて驚いた。近くに来ていたらしい。

草刈り機があるか、というので、あるのよー、と、以前買った充電式マキタの際刈り用のバリカン式のとナイロンコードの刈払い機を見せると、太い蔓とか切るには金属刃のがいいよ、といった。

実は以前、遠い親戚、というかほぼ知り合いくらいの親戚がそういう刃物の刈払い機で草刈り最中に、足を切って、出血多量でなくなるという事故があったので、うちの草刈り機はナイロンコードのものにしたのだ。

日曜日の朝、私は仕事で出掛けるので、夫と彼とで草刈り決行と相成った。
夫は、私があれを伐ったらダメ、これは残してくれ、と、日頃ぎゃあぎゃあいうので、最近では、「名のある草かも」とある程度気遣いしながら草取りをするようになったが、きっと息子はバッサリやっちゃうんだろうなー、と、思ったが、仕方ない。二人に任せてパートに出掛けた。

帰ったら。夫は義母の施設に出掛け。息子が一人で寝ていた。
庭は、すっかりきれいになっていた。

イヤーつかれた。草刈りは大したことないけど、片付けがつかれたよ。と、起きた息子が言った。袋1個つくったら疲れたわ、と、
みれば、ベランダに草や小枝が詰まった市のゴミ袋が1個転がっている。

そのままにしててもいいんじゃない?腐葉土になるし。と言ったら、なってないでしょ、と、言われた。

去年の葉っぱもまだ土になりきれずたまっていってるでしょ。

うーん、まあねー、落ち葉も枯れ草も折り重なってるから、土になってない、と言われると、そうかも。

それにそうやってためるから、庭の土がどんどん増えて家が埋もれちゃうんだよ。

確かに、夫の幼少期の庭で撮った写真はベランダから庭に降りるコンクリートの段ががもう少し高くて、全体にもっと庭が低い感じがする。地盤沈下でなくて庭の土が厚くなったのか?
家が埋もれた?そうとも言う、の、かも。

でもでもあんまり落ち葉をかき集めて捨てたりしたくないな、と思うが、一言言ったら百言返ってきそうなので、まあ、そうだね、と、もごもご返事をしながらふとみると、ベランダに大きな草刈り機がおいてある。

やっぱり金属の刃の方がいいから買ったよ、と息子。
いいでしょー、27000円也~と、ご機嫌な顔で眺める。
エンジンついてるからね。
エンジン式が嫌だから充電式のを買ったのに。ひもを引いてプルルンと起動させるのは器械も重いし気も重い。
てことはガソリンいれるの?
あ、ガソリンって言うか、燃料いれるの。これ。予備もあるよ、と、金属の筒を見せる。

えー、今後この燃料を買い続けなければならなくなったじゃないのー。何より、これどこにかたづけるの?誰が片付けるのよ、と、次々とわきあがる言葉を飲み込んで、そうかー、色々ありがとねという。

一言言って百言返されても、本当は私だってまけずに言い返すこともできると思うけど、口のたつ息子を言い負かすことはできないだろうし、言い負かしても仕方ないし。母は息子に意外に遠慮がちだ。

さて、と、帰ろうとする息子に代金を払わねばと思っていると、まあ、いつもお世話になってるし27000円はプレゼントするよ、といわれた。
それは・・・。

うちのを使ってくれてたらそもそも要らないものだったんだけど、ちょっと釈然としない気持ちだったが、まあ、ありがとね、と。
息子との関係を良好に保ちたい軟弱な母心である。

ともあれ、お陰さまで栗が埋もれることなく収穫できた。今年は色々条件後重なって、数年振りに我が家の栗が豊作で、落ちてくるのが楽しみであり、下草を刈らねば、と思っていたのであった。

しばらくして、息子は年末にも帰って草を刈るよ、といってきた。聞かれてもないのに、無料でいいよ、と。
そりゃあわるいね、といったら、そうね、15000円分くらいの労働価値はある、と、勝手に値段をつけてきた。

15000円なのか?刈った草を袋ひとつ詰めたくらいで疲れて寝るような事で、その値段?草を刈って、木の剪定して、出た草や落ち葉や枝を全部きれいにそうじしたらそのくらいかなー、と、心のなかで思う。

で、年内はそれで返済ってことで許してもらえないかなー。

彼は父親に借金をしているのである。
借りた金返せよ!と、借金大王の歌が脳内に流れて笑えてきた。
まあ、息子も社会人三年目、いろいろたいへんなのだろう、と、いいよ、と答えた。

しかし、それなら、そもそも、やっぱり、うちにある草刈り機使った方がよかったのではないかな?と、かすかに心に浮かんだ疑問を振り払い、この新しい刈り払い機を使いに、来年の夏も草刈りに帰ってきてくれたらいいな、と、思ったりする母なのであった。

(書くのが遅れに遅れが、9月か、10月になる頃の事でした。備忘録)
#gardenwork1000

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